2019年度の展覧会

鏑木清方と鰭崎英朋 近代文学を彩る口絵 ―朝日智雄コレクション

2020年2月15日(土)~3月22日(日)
 
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3/1~3/22の間、臨時休館をいたしました。

知られざるライバル―鏑木清方(かぶらき・きよかた)と鰭崎英朋(ひれざき・えいほう)

2019年、「築地明石町」が再発見されたことが話題となった鏑木清方(1878~1972)。日本画家として今でも広く知られていますが、明治30年代後半から大正5年頃にかけては、文芸雑誌や小説の単行本の口絵というジャンルで活躍していました。その時、清方と人気の双璧をなしていたのが、鰭崎英朋(1881~1968)です。清方と英朋は、月岡芳年の系譜に連なると共に、烏合会という美術団体に属した友人同士でもありました。清方と英朋による、明治の美しい女性たちを描いた口絵の名品を紹介します。
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鏑木清方 菊池幽芳・著『百合子 後編』口絵 大正2年(1913) ⒸAkio Nemoto

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鏑木清方 菊池幽芳・著『小ゆき 後編』口絵 大正2年(1913)  ⒸAkio Nemoto

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鰭崎英朋 柳川春葉・著『誓 前編』口絵 大正4年(1915)

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鰭崎英朋 柳川春葉・著『誓 中編』口絵 大正6年(1917)

知られざる超絶技巧の木版画

明治20年代後半から大正初期にかけて、文芸雑誌や小説の単行本の巻頭には、木版による口絵が付されました。物語の世界を華やかに彩る木版口絵は、江戸時代から続く浮世絵版画の系譜に連なるだけでなく、江戸の技術を遥かに上回る精緻な彫りや摺りが施されています。しかしながら、現在の浮世絵研究ではほとんど顧みられることがなく、忘れられたジャンルとなってしまいました。木版口絵のコレクターである朝日智雄氏の所蔵品の中から約110点を厳選し、歴史に埋もれた口絵の美しさにスポットをあてます。
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鏑木清方 小杉天外・著『にせ紫 後編』口絵 明治38年(1905)  ⒸAkio Nemoto

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鰭崎英朋 泉斜汀・著『深川染 前編』口絵 明治40年(1907)

知られざる挿絵画家たち―桂舟、永洗、年方、半古

文芸雑誌や小説の単行本の巻頭に付された口絵は、明治20年代後半頃から、さまざまな絵師たちによって手掛けられ、その人数は100人以上におよびます。清方や英朋が登場する以前、人気を誇っていた絵師を挙げるとするならば、武内桂舟(1861~1943)、富岡永洗(1864~1905)、水野年方(1866~1908)、梶田半古(1870~1917)でしょう。中でも、水野年方は鏑木清方の師匠であり、清方の画業を考える上で欠かすことのできない人物です。清方や英朋と共に、4人の知られざる挿絵画家たちについてご紹介します。
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武内桂舟 「美人撲蛍」(『文芸倶楽部』第3巻10編口絵) 明治30年(1897)

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富岡永洗 水谷不倒・著『枯野の真葛』口絵 明治30年(1897)

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梶田半古 「菊のかをり」(『文芸倶楽部』第11巻第13号口絵) 明治38年(1905)

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水野年方 村上浪六・著『当世五人男のうち 倉橋幸蔵 続編』口絵 明治35年(1902)

見どころの作品

鰭崎英朋 泉鏡花・著『続風流線』口絵 明治38年(1905)

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泉鏡花の小説『続風流線』の巻頭に付された口絵です。竜巻に襲われて船が転覆し、湖に落ちた美樹子を、多見治が救助する場面を描いています。画面いっぱいに流れる水が描かれ、水の中の2人の体がうっすらと見えるという、斬新な構図と高度な摺りの技法が兼ね備えられた作品です。 泉鏡花と鏑木清方の関係はさまざまに紹介されていますが、鰭崎英朋も泉鏡花と深いつながりがありました。鏡花の小説に多くの挿絵を描いているだけでなく、個人的な親しい交流もしていました。
連携企画展
本展の半券を弥生美術館にてご提示いただくと下記展覧会を100円割引でご覧いただけます。また、下記展覧会の半券を当館でご提示いただくと、本展を100円割引でご覧いただけます。半券1枚につき1名様1回限り有効。他割引との併用不可。
もうひとつの歌川派?! 国芳・芳年・年英・英朋・朋世~浮世絵から挿絵へ……
歌川派を継承した誇り高き絵師たち
  • 会場 弥生美術館(東京都文京区弥生2-4-3)
  • 会期 2020年1月7日(火)~3月29日(日)
  • 入館料 一般900円 大・高生800円 中・小生400円
  • http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
  • 問合せ 03-3812-0012
入館料
一般 1000円
大高生 700円
中学生以下 無料
  • *中学生以上の学生は学生証をご提示下さい。
  • *団体(10名以上)は1名さまあたり100円引き。 (一括にてお支払い願います。事前のお申し込みにご協力ください。)
  • *障害者手帳提示でご本人とお付き添い1名さま100円引き。
  • *その他各種割引についてはお問い合わせください。
  • *料金は消費税込み。
開館日カレンダー
休館日
        • 2020年2月
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        • 2020年3月
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開館40周年記念 太田記念美術館所蔵 肉筆浮世絵名品展 ―歌麿・北斎・応為

原宿にある浮世絵専門の美術館・太田記念美術館は、かつて東邦生命相互保険会社の社長を務めた五代太田清藏(1893~1977)が生涯に渡って蒐集した浮世絵を中心とする、約14000点のコレクションを所蔵しています。当館は昭和55年(1980)1月に原宿でオープンして以来、都内でも数少ない浮世絵専門美術館として活動を続け、2020年1月に開館40周年を迎えます。
本展では開館40周年を記念して、当館の幅広い所蔵の中から、肉筆画の名品を選りすぐって公開いたします。絵師が下絵を描き、彫師、摺師との分業によって生み出される浮世絵版画と比べ、肉筆画は絵師がその完成まで手作業で仕上げる一点物。肉筆画からは、絵師たちの生の筆致やその技量をうかがい知ることができるのです。
初期浮世絵の菱川師宣からはじまり、鳥居清長や喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重といった有名絵師たち、明治時代に活躍した小林清親、月岡芳年まで、長い浮世絵の歴史を彩る、肉筆画の名品が勢揃いいたします。葛飾北斎の娘であり、近年注目を集めている葛飾応為の名品「吉原格子先之図」が約2年ぶりに公開されるのにも注目です。

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菱川師宣「遊女物思いの図」

勝川春章「子猫に美人図」

開館40周年を迎える太田記念美術館

五代太田清藏は欧米を旅行中に、浮世絵が海外で高く評価されていることを知り、シカゴ美術館で展示されていた葛飾北斎の花鳥画に魅了され蒐集をはじめます。生涯で集めたコレクションは約12,000点に上り、その死後、遺族の手により昭和55年(1980)1月13日に太田記念美術館が開館しました。
都内でも数少ない浮世絵の専門美術館として、さまざまなテーマで展覧会の開催し、浮世絵の魅力を発信し続けてきた当館は、2020年1月に開館40周年を迎えます。

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鍬形蕙斎「桜花遊宴図」

月岡芳年「雪中常盤御前図」

歴代の浮世絵師たちによる、珠玉の名品が勢揃い

太田記念美術館の所蔵品は、版画・肉筆画ともに、絵師や時代に偏りの少ない、バランスのとれたコレクションとして知られています。本展ではその中でも肉筆画の名品のみを厳選。菱川師宣からはじまり、懐月堂派、宮川派、鳥居清長や喜多川歌麿、葛飾北斎と応為などの葛飾派、歌川豊春、豊国、国芳、広重などの歌川派、明治時代に活躍した浮世絵師である小林清親や月岡芳年まで-。長い浮世絵の歴史を彩る、有名浮世絵師たちによる肉筆画の名品の数々をお楽しみください。

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葛飾北斎「源氏物語図」

喜多川歌麿「美人読玉章」

肉筆画の名品にみる、浮世絵師たちの生の筆遣い

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小林清親「開化之東京両国橋之図」

浮世絵の大部分を占めるのは、絵師が版下絵を描き、彫師、摺師の手を経て完成される版画の手法で作られた作品です。絵師が描いた版下絵は彫師が版木を彫る際に一緒に削って失われるため、もともとの絵師の筆遣いを知ることはできません。対して肉筆画は絵師が発注に受け、紙や絹に描いて仕上げる一点物。肉筆画からは、細緻な描線や繊細なグラデーションなど、浮世絵師たちの本来の技量がうかがえるのはもちろんのこと、ぜいたくに使われた顔料の美しさなども楽しむことができるのです。

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歌川広重「日光山華厳ノ滝」「日光山霧降ノ滝」「日光山裏見ノ滝」

見どころの作品
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葛飾北斎「雨中の虎」

葛飾北斎「雨中の虎」

葛飾応為「吉原格子先之図」

父と娘、二人の天才絵師の競演

本展では、太田記念美術館の名品中の名品である、葛飾北斎「雨中の虎」、葛飾応為「吉原格子先之図」が揃って出品されます。葛飾北斎「雨中の虎」は北斎の没年にあたる嘉永2年(1849)に描かれた傑作。雨の中、上空を睨む虎の力強い生命力は、数え年90歳にして衰えを知らない北斎の絵師としての魂を象徴しているかのようです。2005年にフランスのギメ美術館に所蔵される「龍図」と対になることが発見されたことでも知られる名品です。
そして北斎の娘である絵師、葛飾応為。2年ぶりに公開される「吉原格子先之図」は、応為の希少な作品の中でも代表作の一つとして知られています。大胆な光と影の描写で江戸の遊郭、吉原の夜をドラマチックに描き出てしており、暗闇の中に人々の姿が浮かび上がる幻想的な作品です。北斎自身が美人画については応為に敵わないと語ったという逸話もある、その非凡な才能がよく表れています。

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葛飾応為「吉原格子先之図」

イベント
学芸員によるスライドトーク

展覧会の見どころを担当学芸員が解説します。

日時
  • 2020年1月13日(月祝)11:00
  • 2020年1月22日(水)11:00
  • 2020年1月31日(金)11:00
会場 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料

*中学生以上の学生は学生証をご提示下さい。
*団体(10名以上)は1名さまあたり100円引き。 (一括にてお支払い願います。事前のお申し込みにご協力ください。)
*障害者手帳提示でご本人とお付き添い1名さま100円引き。
*その他各種割引についてはお問い合わせください。
*料金は消費税込み。

開館日カレンダー

休館日