馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月

企画展
2017年6月2日(金)~25日(日)
6月5、12、19日は休館します。
 

 

 

今年は馬琴誕生250年

 曲亭(滝沢)馬琴は、江戸時代のベストセラーである『南総里見八犬伝』の作者として、現在でも高い人気を誇っています。馬琴の執筆した『南総里見八犬伝』や『椿説弓張月』は、小説の枠に収まらず、歌舞伎として上演されたり、浮世絵として絵画化されたりしてしました。今年は馬琴が誕生してからちょうど250年にあたります。本展ではそれを記念して、馬琴の小説を題材とした浮世絵約80点をご紹介いたします。


歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」(個人蔵)
    


歌川国芳「本朝水滸伝剛勇八百人一個 犬村大学礼儀 幼名角太郎」(個人蔵)


歌川国貞「豊国揮毫奇術競 蒙雲国師」(個人蔵)

国芳VS国貞 人気絵師の対決

歌川国芳と歌川国貞は、近年注目を集めている浮世絵師ですが、この二人は『南総里見八犬伝』や『椿説弓張月』を題材とした浮世絵版画を数多く描いています。例えば、国芳の代表作である巨大なワニザメも、実は馬琴の小説を題材としたもの。人気絵師の二人が、馬琴の小説をどのように絵画化しているか、その個性の違いをお楽しみください。さらに、歌川芳艶や月岡芳年など、他の浮世絵師たちの作品もご紹介します。

歌川国貞「放龍閣之場 犬飼現八 犬塚信乃」(個人蔵)

月岡芳年「芳流閣両雄動」(太田記念美術館蔵)

 

歌川国芳「八犬伝之内芳流閣」(個人蔵)

歌川国芳「八犬伝之内芳流閣」(個人蔵)

『南総里見八犬伝』ブームの源流

 『南総里見八犬伝』は28年の歳月をかけて書き継がれた、江戸時代屈指のロングセラーでしたが、現代になっても、その形を変えながら、物語は受け継がれています。昭和48年(1973)のNHK人形劇『新八犬伝』や、昭和58年(1983)の深作欣二監督の角川映画『里見八犬伝』をご記憶の方は多いことでしょう。今年になっても、歌舞伎や演劇として上演されており、その人気は色あせておりません。八犬伝ブームの源流を浮世絵から探ります。


歌川国芳「本朝水滸伝剛勇八百人一個 犬山道節忠與」(個人蔵)


歌川国芳「義勇八犬伝 犬坂毛乃」(個人蔵)


二代歌川国貞「八犬伝犬の草紙の内 尼妙椿」(個人蔵)

<見どころの一点>
歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」(個人蔵)

                   

まるで怪獣のような巨大なワニザメのインパクトが強く、国芳の代表作の一つに数えられていますが、実はこの作品も馬琴の物語を題材にしています。平安時代の豪傑・鎮西八幡太郎義為を主人公にした波乱万丈の冒険ストーリーである『椿説弓張月』の一場面。暴風雨に巻き込まれた為朝とその仲間たちを、烏天狗やワニザメが救出に訪れました。馬琴の物語を知ると、浮世絵をより深く鑑賞することができます。

イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程

2017年6月4日(日)・13日(火)・23日(金)

時間 14:00~(40分程度)
場所 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料
開館日カレンダー

休館日

   
  • 2017年6月
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浮世絵動物園

企画展
2017年4月1日(土)~5月28日(日)
前期 4月1日(土)~26日(水)
後期 5月2日(火)~28日(日)
※前後期で展示替え
 
4月3、10、17、24、27~30日、5月1、8、15、22日は休館します。
 

 

 

帰ってきた「浮世絵動物園」~猫から龍まで大集合~

ペットとして愛された猫や金魚、擬人化されたタコや狐、龍や河童。2010年に多彩な動物を描く浮世絵をご紹介し好評を博した「浮世絵動物園」展がパワーアップして帰ってきます。展示総数は前回の2倍となる約160点。前回をご覧になった方もそうでない方も、きっとお気に入りの動物に出会えるはず。この春は美術館でもかわいい動物の姿をお楽しみください。

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歌川国芳「里すゞめねぐらの仮宿」前期展示

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歌川広重「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」後期展示

国芳だけじゃない!巨匠たちの動物くらべ

動物を描く浮世絵と言えば、歌川国芳によるかわいい猫の絵を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、動物を得意としたのは国芳だけではありません。本展には鈴木春信、葛飾北斎、歌川広重、月岡芳年、河鍋暁斎といった名だたる絵師たちが登場。それぞれの個性が発揮された動物描写も注目です。

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葛飾北斎「狆」後期展示

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河鍋暁斎「天竺渡来大評判 象の戯遊」
前期展示

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鈴木春信「猫に蝶」前期展示

擬人化された動物たち~遊ぶ・食べる・喧嘩する~

国宝「鳥獣戯画」(平安~鎌倉時代)からディズニー映画まで、擬人化された動物の活躍は長く愛されてきました。浮世絵でもタコが踊り、鳥が芸を披露し、猫はお蕎麦を食べて。ほかにも相撲をとったり喧嘩したりと大忙し。身近な動物たちが江戸っ子さながらに振る舞う愉快な姿は、本展の見どころのひとつです。

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歌川貞秀「蛸踊り」後期展示

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落合芳幾「諸鳥芸づくし」前期展示

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四代歌川国政「しん板猫のそばや」後期展示

珍獣いろいろ

全ての干支を合体させた「家内安全ヲ守 十二支之図」のように、実際には存在しない空想上の動物も描かれました。一方で、舶来し見世物として話題を呼んだ象や豹を写した絵、珍しい生物を図鑑の挿絵のように精緻に描写した作品も残されます。絵師たちは創造力と観察眼とを発揮しながら様々な珍獣の絵を世に送り出したのです。

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歌川芳虎「家内安全ヲ守 十二支之図」
後期展示

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歌川芳員「東海道五十三次内 大磯をだはらへ四リ」前期展示

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服部雪斎「サンセウウヲ」後期展示

暮らしのなかの動物

暦や時間、方位を表す際に干支を用い、労働力として牛や馬が欠かせなかった江戸時代。浮世絵にはペット以外にも暮らしに溶け込んだ動物が様々に登場しており、はては着物にも多くの動物模様が見いだせるほど。こうした作品は人々と動物との関係が現代よりも密接であったことをうかがわせます。

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月岡芳年「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗」前期展示

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歌川国貞「浄瑠璃つくし 傾城恋飛脚 梅川忠兵衛 新口村の段」後期展示
人気役者・七代目団十郎が好んだことから蝙蝠模様が流行した。

<見どころの一点>
歌川芳豊「中天竺馬爾加国出生新渡舶来大象之図」前期展示

                                   

 動物園に行けば必ず目にする象。子供から大人まで人気の動物ですが、江戸時代には日本に生息していない珍獣中の珍獣でした。絵のモデルは幕末の文久2年(1862)、アメリカ船がマラッカから横浜にもたらした象で、本図は翌3年、両国での見世物興行の際に制作されたものです。この象はなんと10年以上も日本全国を巡業しました。長い鼻を器用につかう愛嬌のある姿はお馴染みのものですが、画中文字には「一度此霊獣を見る者ハ七難を即滅し七福を生ず」とあります。つまり、福を呼ぶご利益のあるありがたい動物として宣伝されているのです。現代人とは異なる江戸っ子の象への眼差しがうかがわれます。

イベント
学芸員によるスライドトーク

展覧会の見どころを担当学芸員が解説します。

日程 2017年4月8(土)、11日(火)、19日(水)、
5月11日(木)、17日(水)、23日(火)
時間 14:00~(40分程度)
場所 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料

 

江戸の絶景~雪月花



企画展
2017年2月3日(金)~3月26日(日)
前期:2017年2月3日(金)~2月26日(日)
後期:2017年3月3日(金)~3月26日(日)
※前後期で展示替え
 

2月6、13、20、27日~28日/3月1~2、6、13、21日は休館となります。

 

 

江戸にもあった絶景ブーム

 2014年流行語大賞にノミネートされるほど話題となった「絶景」。今なお国内外の絶景を紹介するサイトやテレビ番組は人気ですが、実は江戸の人々も現代人に負けず劣らず絶景が大好きだったようです。江戸時代後期、各地の名所や歴史を絵入りで紹介する地誌が刊行され、浮世絵にも全国や江戸市中の景勝地、奇観が数え切れないほど登場するようになります。絵師たちは四季に彩られた麗しい景色はもちろん、人里離れた秘境や、断崖絶壁に寺院が建つ幻想的な絶景もとらえています。さらに空想上の視点―遥か上空から見下ろす―なども駆使し人々の想像を超える「見たこともない景色」を次々と描き出していたのです。
 本展では歌川広重を中心に葛飾北斎、歌川国芳などが描いた絶景を「雪」「月」「花」「山と水辺」「寺社」のテーマにわけご紹介いたします。美術館での絶景めぐりをお楽しみください。

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歌川広重「甲陽猿橋之図」(後期展示)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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歌川広重「木曽路之山川」(前後期展示)

江戸っ子も「一度は行きたい!」諸国の絶景

 インターネットや書籍で見る海外の絶景に感動し、思いを馳せる人も多いのではないでしょうか。江戸時代、人々の心を踊らせたのは浮世絵に描かれた桜咲く京都や雪に包まれた木曽路、青い海に囲まれた江の島など、今も人気の名勝地。新幹線も飛行機もない当時、国内とは言え遠方の名所は行くのが難しい憧れの地でした。今も昔も日本人が愛してやまない、季節感あふれる全国の絶景が集まります。


歌川貞秀「神奈川横浜新湊港崎町遊郭花盛之図真景」(後期展示)
    

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歌川広重「六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波」(前期展示)

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歌川国芳「百人一首之内 大江千里」(前期展示)

大江戸絶景さんぽ

 雪の舞う隅田川、月光に照らされる江戸湾、桜咲く寛永寺―。四季折々の名所に遊び、町のいたるところから名峰富士を望む。ビルが建ち並ぶ今の東京で過ごす私達には想像できないほど、江戸市中では風雅な景観を楽しむことができました。江戸の人々が愛でた身近な絶景スポットをご紹介いたします。

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歌川広重「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」(前期展示)

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歌川広重「名所江戸百景 上野清水堂不忍池」(前期展示)

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歌川国芳「東都名所 するがだひ」(後期展示)

<見どころの一点>
「葛飾北斎「諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし」(後期展示)

                               

 飛越とは岐阜県北部(飛騨)と富山県越中との国境あたりのこと。切り立つ山々を結ぶのは手すりのない吊り橋。木々や鳥、霞さえも足もとにして樵の夫婦と思われる男女が荷物を持ち平然と渡っています。その姿はあたかも空中を歩いているかのよう。女性の後ろからピンと張った橋の形状は、自然が織りなす幻想的な絶景のなかに強い緊張感を与えています。

イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程

2017年2月8日(水)・12日(日)・19日(日)/
3月14日(火)・20日(月・祝)

※3月20日は14:00の回に追加して15:00からも開催いたします。

※当初予定しておりました3月4日のスライドトークは都合により中止させて頂きます。

時間 14:00~(40分程度)
場所 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
若手研究者講演会
講師

大和あすか (静岡市東海道広重美術館学芸員)

演題「錦絵の色」

日程 2月18日(土)
時間 14:00~15:30
場所 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料

 

開館日カレンダー

休館日

   

お笑い江戸名所 ~歌川広景の全貌



企画展
2017年1月5日(木)~29日(日)
 

1月10、16、23日は休館となります。

 

 

笑う! ふざける!! ズッコケる!!!  ~おバカな江戸っ子、大集合

 歌川広景(うたがわ・ひろかげ)の代表作「江戸名所道戯尽」は、幕末の江戸の名所を舞台に、騒いだり転んだりする人々をユーモラスに描いた作品です。本展は、全50点からなるこのシリーズを一挙に公開する貴重な機会となっています。他の浮世絵では味わうことのできない、笑いと馬鹿馬鹿しさに溢れた江戸っ子たちの姿をお楽しみください。

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歌川広景「江戸名所道化尽 九 湯嶋天神の台」(太田記念美術館蔵)
犬に足を噛まれた蕎麦屋。出前の蕎麦を頭からかぶってしまったお侍。

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歌川広景「江戸名所道化尽 十九 大橋の三ツ股」(太田記念美術館蔵)
橋の上から飛び込む褌一丁の男たち。スイカを積んだ小舟に激突。

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歌川広景「江戸名所道外尽 四十六 本郷御守殿前」(太田記念美術館蔵)
突然の夕立。一つの傘しかなかった三人の男たちの解決方法。

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歌川広景「江戸名所道化尽 四十一 浅草御厩川岸」(太田記念美術館蔵)
漆喰の盛り板が頭に命中。ひっくり返って箱の中にすってんころりん。

謎の絵師・歌川広景の全貌を紹介する初めての展覧会

 歌川広景については、歌川広重の弟子という程度のことしか明らかになっておらず、その正体はほとんど謎に包まれています。本展では、代表作である「江戸名所道戯尽」全50点を一挙に紹介するほか、「青物魚軍勢大合戦之図」や「東都冨士三十六景」といった他の作品も合わせ、謎の絵師・歌川広景の全貌に迫ります。

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歌川広景「青物魚軍勢大合戦之図」(太田記念美術館蔵)
    擬人化された魚と野菜の軍勢が大激突。


パクリ? リスペクト? 北斎・広重との奇妙なつながり

「江戸名所道戯尽」は、葛飾北斎や歌川広重の作品を明らかに参考にしている箇所が数多く見られます。本展では、北斎や広重の作品も合わせて展示することで、広景のアイデアの源泉、さらには、北斎や広重が次世代に与えた影響力について掘り下げます。

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歌川広景「江戸名所道外尽 廿八 妻恋こみ坂の景」(太田記念美術館蔵)
鼻をつままずにはいられない、お侍さんの発する強烈な臭い。北斎の作品をそっくりそのまま模写しています。

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葛飾北斎『北斎漫画』十二編(太田記念美術館蔵)

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歌川広景「江戸名所道戯尽 十五 霞が関の眺望」(太田記念美術館蔵)
透視図法を使って、坂の上から江戸湾を眺める独特の構図。広景は、広重の作品の構図を取り入れたようです。

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歌川広重「名所江戸百景 霞かせき」(太田記念美術館蔵)

<見どころの一点>
「歌川広景「江戸名所道戯尽 十六 王子狐火」(太田記念美術館蔵)

                                     

 大名行列ごっこを楽しんでいるキツネたち。挟み箱の代わりにカボチャを担ぎ、毛槍の代わりにトウモロコシをくくり付けた竹を掲げています。大きなザルに座って御満悦な男は、狐に化かされて、すっかりお殿様になった気持ちでいるのでしょう。場所は王子稲荷社付近。大晦日の夜になると狐たちが王子稲荷社に集まり、近隣の農民たちは、この時に狐が発する狐火の数によって翌年の農作物の豊凶を占ったと伝えられています。

イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程

2017年1月7日(土)・18日(水)・27日(金)

※27日は14:00~と15:00~の2回行います。

時間14:00~(40分程度)(27日のみ15:00~も開催)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
若手研究者講演会
講師塚本 園子 (実践女子大学大学院)
「北斎の弟子、昇亭北寿
  ―その画業と風景版画について」
日程1月21日(土)
時間14:00~15:30
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料

 

開館日カレンダー

休館日

   
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生誕150年記念 水野年方~芳年の後継者



企画展
2016年11月4日(金)~12月11日(日)
 

11月7・14・21・28日/12月5日は休館となります。

 

 

明治の浮世絵師・水野年方の全貌を探るはじめての展覧会

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水野年方「和漢十六武者至 水滸伝九紋竜史進」 明治17年(1884) 太田記念美術館蔵

 水野年方(18661908)は、明治時代に活躍した、浮世絵師であり日本画家であった人物です。月岡芳年の門人として美人画や歴史画などの浮世絵を描く一方、岡倉天心や横山大観、菱田春草らとともに新しい日本画の創作を試みました。さらに、大正・昭和に活躍した日本画家・鏑木清方の師匠でもありますが、数え43歳という若さで亡くなったためか、年方の存在が顧みられることは現在ほとんどありません。
 今年2016年は水野年方が慶応2年(1866)に生まれて 150年という節目の年にあたります。本展はそれを記念し、版画を中心とした年方の画業を紹介いたします。浮世絵師としての年方の全貌を探る、はじめての展覧会となります。

月岡芳年の後継者・水野年方

 水野年方は10代後半の頃、月岡芳年に入門し、武者絵や歴史画、美人画といった浮世絵を学びました。若い頃から頭角を現し、芳年が亡くなった後は、多くの兄弟子たちがいる中、二代芳年を襲名するという話が持ち上がるほどの実力と人気を兼ね備えていました。

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水野年方「婦有喜倶菜」 明治21年(1888) 太田記念美術館蔵

泉鏡花、幸田露伴~近代小説家たちとのコラボ

 水野年方は、文芸雑誌や小説の単行本の口絵を数多く描きました。年方が口絵を描いた小説家たちは、尾崎紅葉や泉鏡花、幸田露伴などといった、近代文学を代表する名だたる人物たちが含まれていますが、当時は小説よりも色鮮やかな口絵の方が広く人気がありました。年方は近代文学の発展に大きな役割を担ったのです。

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水野年方「幸田露伴『夢がたり』口絵(『文芸倶楽部』第7巻第11号)」 明治34年(1901) 太田記念美術館蔵

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水野年方「小栗風葉『恋慕ながし』口絵」 明治33年(1900)  太田記念美術館蔵

華やかな明治美人たち

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水野年方「三井好 都のにしき 6 秋 外出」 明治37年(1904)頃 太田記念美術館蔵

 水野年方は、明治という新しい時代の空気をまとった、華やかながらも気品に溢れた美人画を得意としました。それは、大正・昭和の美人画の世界を牽引した、門人である鏑木清方に受け継がれていくことになります。


水野年方「三十六佳撰  湯あかり 寛政頃婦人」 明治25年(1892) 太田記念美術館蔵

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水野年方「伊予簾(『文芸倶楽部』第12巻11号口絵)」 明治39年(1906) 太田記念美術館蔵

<見どころの一点>
「水野年方「泉鏡花『外科室』口絵(『文芸倶楽部』第1巻6編)」明治28年(1895) 太田記念美術館蔵

                                 

 『外科室』は、泉鏡花が小説家としてデビューしたばかりの時期の代表作です。この小説は『文芸倶楽部』という文芸雑誌に掲載されましたが、その口絵を描いたのが水野年方でした。口絵は木版画であるため、制作に時間がかかります。そのため年方は小説の内容を十分に理解する前に、口絵を完成する必要がありました。『外科室』の物語は病院の外科室を舞台としているのですが、この絵は自宅で療養する女性の姿となっており、小説と密接に結びついたものになっていません。しかしながら、読者たちは、口絵と小説の整合性を気にすることなく、緻密に描かれた年方の口絵の美しさに心を奪われていたのです。

イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程

11月5日(土)・12日(土)・15日(火)・25日(金)・30日(水)

/12月10日(土)

時間14:00~(40分程度)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料

 

開館日カレンダー

休館日

   

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国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃



特別展
2016年9月3日(土)~10月30日(日)
前期:9月3日(土)~9月27日(火)
後期:10月1日(土)~10月30日(日)
前後期で展示替え

9月5・12・20・26・28~30日/10月3・11・17・24日は休館となります。

 

 

これぞ国芳!―血湧き肉躍る水滸伝の世界

 近年、歌川国芳(17971861)は展覧会でも多く取り上げられ、現代人に最も人気のある浮世絵師の1人となっています。その魅力については「奇想」や「ユーモア」といった言葉で語られることが多いのですが、実は国芳の最初のヒット作は「ワイルド」で「カッコイイ」武者絵でした。その作品こそが《通俗水滸伝豪傑百八人之(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんの)一個(ひとり)(一人)》(以下《通俗水滸伝》)シリーズ。当時の日本においても知られていた中国の小説「水滸伝」を題材に、国芳が力強くもエキゾチックな異国のヒーローたちを躍動感あふれる姿で活写したものです。国芳渾身の武者絵はたちまち評判を得、その人気ぶりは彫り物(刺青)ブームを起こすほどでした。国芳はこの成功を足がかりに「武者絵の国芳」と呼ばれるほどの地位を築いていくことになったのです。   
 本展では国芳の出世作にして武者絵の傑作《通俗水滸伝》シリーズのほぼ全点に加え、国芳が手がけた「水滸伝」に関連する多彩な作品を展示いたします。国芳入魂のヒーローたちの勇姿をお楽しみください。


「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達」  
(個人蔵 / 前期展示)


「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 九紋龍史進 跳澗虎陳達」 
(個人蔵  / 前期展示)

国芳の原点に迫る

 敵を倒す勇猛な武将、軍師の知的な佇まい、華麗な衣装をまとった女傑の活躍―。国芳の原点とも言える《通俗水滸伝》には魅力的で個性豊かなキャラクターが次々と登場します。多彩な豪傑たちの不屈の闘志や友情、波乱の運命に江戸っ子たちは熱狂したのでした。およそ190年前に誕生した作品ですが、本作の高いエンターテインメント性は現代の漫画や映画、ゲームに通じるものがあります。本展では74図が確認される本シリーズのうち73図を一挙に展示し、その世界観をあますところなくご紹介いたします。

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「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 智多星呉用」(個人蔵  /  後期展示)

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「通俗水滸伝豪傑百八人一個 旱地忽律朱貴」(個人蔵 /   後期展示)

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「水滸伝豪傑百八人之一個 扈三娘一丈青」(個人蔵   /  前期展示)

多彩な水滸伝が勢揃い

 ヒット作が誕生すると関連商品が売り出されるのは世の常。国芳も《通俗水滸伝》が成功すると、関係する作品を次々と世に送り出しました。子供むけの双六や豪傑をパロディ化したもの、女性を水滸伝の豪傑になぞらえた美人画、さらには登場人物を日本の英雄とした武者絵など。国芳は豊かな発想力を武器に水滸伝の世界を広げていったのです。本展ではこれらの作品もあわせて展示いたします。国芳のアレンジの手腕だけでなく、当時の水滸伝ブームにも触れてみてください。
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「狂画水滸伝豪傑一百八人 十番続之内壹」
部分(個人蔵 / 前期展示)
パロディ。泳ぎの達人、短命二郎阮小五がタコに襲われる。

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「風俗女水滸伝 百八番之内」
(個人蔵 / 後期展示)
九紋龍史進を龍柄の着物を着た花魁になぞらえる。

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「本朝水滸伝剛勇八百人一個 犬村大学礼儀 幼名角太郎」(個人蔵 / 前期展示)

<見どころの一点>
「通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 浪裡白跳(ろうりはくちょう)(ちょう)(じゅん)
(個人蔵 / 後期展示)

                                 

 本シリーズを代表する作品。刀を咥えた男が睨みをきかしています。ぐにゃぐにゃと曲げられた柵は水門です。男は浪裡白跳張順。水練の達人で梁山泊では水軍の頭領を務めていました。本作は物語の終盤、杭州城を攻撃する際に水門を破る張順を題材としています。憤怒の形相、筋骨隆々とした肉体、そして白い肌に浮かび上がった青い彫り物からは、その荒ぶる強さが伝わってきます。張順は水門を破った後に敵兵の集中攻撃を受けて戦死。仲間たちの元へ帰ることはできませんでした。壮絶な最期が迫った豪傑を、国芳は力みなぎる雄々しい姿でとらえました。

入館料
一般1000円
大高生700円
中学生以下無料

※会期中2回目以降鑑賞の方は半券提示で200円割引

※展覧会図録「国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃」を2.500円(税込)にて販売します。

開館日カレンダー

休館日

   

  • 2016年9月
    SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
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  • 2016年10月
    SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
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怖い浮世絵



企画展
2016年8月2日(火)~8月28日(日)

8月8・15・22日は休館となります。


  

 

 

 

美術館でキモだめし。

「怖い」「恐ろしい」-すなわち恐怖は人間の普遍的な感情のひとつです。未知なるもの、危険なもの、不気味なものなどに対して、人間は恐怖を抱き、忌み嫌い、避けようとします。しかし「怖いもの見たさ」という言葉が表すように、それらは多くの場合、同時に強烈な好奇心を呼び起こすものでもあるのです。小説やドラマ、映画などで、ホラーやサスペンスといったジャンルが根強い人気を博すのも、この怖いもの見たさに起因するのでしょう。
江戸の人々も、怖いもの、恐ろしいものへの好奇心は旺盛だったようで、歌舞伎や小説などで怪談物が流行したのをはじめ、浮世絵にも怪異や妖怪が盛んに描かれています。本展は、江戸の人々が抱いた恐怖のイメージを浮世絵から探る展覧会です。累(かさね)、お岩、崇徳院といった生前の恨みをはらす幽霊たち、鬼、海坊主、土蜘蛛などの異形の化け物、凄惨な血みどろ絵まで、「怖い」浮世絵が一堂に集まります。

Ⅰ 幽霊

幽霊とは、現世に恨みや思いを残し、死後さまよっている霊魂のこと。江戸時代後期には、幽霊が歌舞伎に登場する話が流行し、それに伴って浮世絵にも幽霊が多く描かれています。累(かさね)やお岩、お菊、浅倉当吾、崇徳院など、凄まじい怨念をもって現世に現れる恐ろしい幽霊の姿を紹介いたします。


歌川国貞(三代豊国) 「見立三十六歌撰之内 藤原敏行朝臣 累の亡魂」(太田記念美術館蔵)


歌川芳幾「百もの語 魂魄」(太田記念美術館蔵)

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月岡芳年「西郷隆盛霊幽冥奉書」(太田記念美術館蔵)

Ⅱ 化け物

鬼や海坊主、大蛇、土蜘蛛、九尾の狐から化け猫まで、浮世絵には異形の化け物たちが数多く登場します。歌川国芳などの浮世絵師たちは、並外れた想像力でそれらを絵画化しました。身震いするほどの大迫力で描かれた作品がある一方で、時にユーモラスな姿も見せる化け物たちを紹介いたします。

歌川国貞(三代豊国)『東駅いろは日記』(三枚続、太田記念美術館蔵)


月岡芳年「郵便報知新聞 第六百六十三号」(太田記念美術館蔵)

 
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歌川国芳「大江山酒呑童子」(三枚続、太田記念美術館蔵)

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歌川国芳「源頼光公館土蜘作妖怪図」(三枚続、太田記念美術館蔵)

Ⅲ 血みどろ絵

幕末から明治にかけて、月岡芳年・歌川芳幾による「英名二十八衆句」を筆頭に、血が大量に描かれた残虐な「血みどろ絵」が流行します。芝居や講談に材を得た作品もあれば、当時起きた上野戦争を題材に描かれた「魁題百撰相」などの作品も見られます。身の毛もよだつ、血にまみれた浮世絵をご紹介します。
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歌川国芳「本朝英雄鏡 石川藤助定友」(個人蔵)

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月岡芳年「英名二十八衆句 直助権兵衛」(個人蔵)

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月岡芳年「魁題百撰相 冷泉判官隆豊」(個人蔵)

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月岡芳年「郵便報知新聞 第五百六十五号」(太田記念美術館蔵)

<見どころの一点>
歌川国芳「四代目市川小団次の於岩ぼうこん」(太田記念美術館蔵)

                                          

虫籠と団扇を手にして踊る美しい娘、お岩が描かれています。背景で暗闇に舞うのは蛍。よく見るとお岩の背後には、同じポーズで踊る、朽ち果てた姿のお岩が重なって見えています。髪は抜け落ち、骨も露わになった亡魂の描写が恐ろしい一図です。有名な『東海道四谷怪談』の系統の舞台を描いたもので、嘉永元年(一八四八)九月市村座で上演された歌舞伎『当三升四谷聞書(まねてみますよつやのききがき)』に取材しています。当図は物語の終盤、夢の場を描いたもの。数々の悪事を犯した主人公、伊右衛門の夢に美しい娘の姿でお岩が現れますが、やがて亡霊としての正体を現すという、幻想的かつ恐ろしい場面です。幕末の名優、四代目市川小団次がお岩を演じました。なお本図は二枚続のうち一図で、左に八代目市川団十郎の神谷仁右衛門と初代中村翫太郎の秋山長兵衛の図が続きます。

イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程8月4日(木)・12日(金)・23日(火)
時間11:00~    /   14:00~(40分程度)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)

  
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
開館日カレンダー

休館日

北斎漫画~森羅万象のスケッチ



企画展
2016年7月1日(金)~7月28日(木)

7月4・11・19・25日は休館となります。

 ※展覧会の図録は作成いたしません。

 

 

葛飾北斎のライフワークを紹介

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葛飾北斎『北斎漫画』三編
すずめ踊りをする男性の動作を一つ一つ丁寧に描写。まるでパラパラ漫画のよう。

『北斎漫画』は「冨嶽三十六景」とともに葛飾北斎(1760~1849)の名を世界中に広めることとなった絵本です。文化11年(1814)、北斎が55歳の時に初編を手掛けて以降、その人気は北斎が亡くなっても衰えることなく、明治11年(1878)になってようやく15編で完結しました。『北斎漫画』はまさしく北斎のライフワークであったと言えるでしょう。本展では、この世の森羅万象を描き尽くそうとした『北斎漫画』の魅力をご紹介します。

北斎の多彩な才能を7つのキーワードで紹介

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葛飾北斎『北斎漫画』十二編
居眠りをしたり眼鏡を買ったりしている、妖怪たちの何気ない日常。

『北斎漫画』に描かれたさまざまな題材を、躍動、滑稽、生活、自然、動物、妖怪、建築という7つのキーワードで紹介します。躍動感溢れる動きや思わず笑ってしまうふざけた人物といった北斎らしさが満載の作品はもちろん、まるで科学者のような視線で丹念に観察した自然や建築の作品など、普段はあまり紹介されることのない北斎の多彩な才能にも注目します。

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葛飾北斎『北斎漫画』三編
人魚に河童など、いるはずがない動物をリアリティー豊かに描写。

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葛飾北斎『北斎漫画』五編
まるで建築の設計図。お寺の鐘楼の屋根の構造を丁寧に観察。

北斎の絵本を幅広く紹介

北斎は『北斎漫画』に限らずさまざまな絵本を制作しており、北斎の画業を考える上で絵本は重要な存在です。本展では、風景、人物、物語など、北斎が手掛けたさまざまな絵本を紹介いたします。浮世絵の展覧会では肉筆画や一枚摺の錦絵は頻繁に展示されますが、絵本が展示される機会はそれほど多くはありません。北斎の絵本をまとめて鑑賞できる、北斎ファンにとっては貴重な機会になることでしょう。
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葛飾北斎『富嶽百景』「鏡台不二」
昇ってきた太陽がちょうど富士山の山頂に。まばゆい朝の光が放射状に輝きます。

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葛飾北斎『三体画譜』
馬、兎、猿、犬をそれぞれ真・行・草、三種類のタッチで描き分けています。

<見どころの一点>
葛飾北斎『北斎漫画』十編

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北斎は累(かさね)とお菊という江戸時代で有名な女性の幽霊を描いています。左は累。醜い容姿から夫に殺害され怨霊となりました。右はお菊。皿を割った罪で井戸に身を投げた後に怨霊となり、夜な夜な井戸で皿を数えました。いずれも霊を鎮めた高僧と共に描かれています。
イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程7月5日(火)・9日(土)・22日(金)
時間14:00~(40分程度)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)

 
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
開館日カレンダー

休館日

歌川広重 ~東海道五十三次と冨士三十六景



企画展
2016年4月29日(金・祝)~6月26日(日)
前期:4月29日(金・祝)~5月26日(木)
後期:6月1日(水)~6月26日(日)

5月2・9・16・23・27~31日、6月6・13・20日は休館となります。

 ※展覧会の図録は作成いたしません。

 

 

出世作「東海道五拾三次之内」と最晩年の作「冨士三十六景」

広重が描く二つの大作を一挙公開。

歌川広重(寛政9年~安政5年、1797~1858)は、風景画の第一人者として幕末に人気を誇った浮世絵師です。1830年代、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」の人気を受けて風景画ブームが訪れようとしていた頃、当時新進気鋭の広重が世に送り出したのが保永堂版「東海道五拾三次之内」シリーズ。本作は大ヒットし、広重は一躍人気絵師となりました。以降、広重は風景画の第一人者として、生涯に渡って数多くの作品を描き続けることになります。その最晩年の大作が富士山を題材とした、三十六枚からなるシリーズ「冨士三十六景」。ライバルであった北斎の「冨嶽三十六景」を意識したとも言える作品です。本展では、広重の画業を彩る二つの大作を一挙公開するとともに、「行書東海道」「隷書東海道」といった東海道ものや「名所江戸百景」など、広重の他の名作もあわせてご紹介いたします。

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歌川広重「東海道五拾三次之内 箱根 湖水図」(前期展示)

 

広重の出世作、保永堂版「東海道五拾三次之内」 

広重の代表作である保永堂版「東海道五拾三次之内」は、天保4年(1833)頃から制作されたと考えられています。当時、北斎の「冨嶽三十六景」の人気を受けて、浮世絵の風景画が流行しつつありました。広重は新進の絵師でしたが、天保初め頃の揃物「東都名所」に続き、満を持して出版されたのが保永堂版「東海道五拾三次之内」です。本作は大好評となり、長きに渡り人気を得たと考えられています。本展では、本作を全点紹介するとともに、変わり図なども合わせて展示いたします。

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歌川広重「東海道五拾三次之内 三島 朝霧」(前期展示)

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歌川広重「東海道五拾三次之内 庄野 白雨」(後期展示)

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歌川広重「冨士三十六景 武蔵小金井」(前期展示)

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歌川広重「冨士三十六景 駿河薩タ之海上」(後期展示)

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歌川広重「冨士三十六景 駿河三保之松原」(後期展示)

「名所江戸百景」など、広重の画業を彩る名作も紹介

広重は保永堂版「東海道五拾三次之内」の大ヒットのあと、他にも俗称「行書東海道」「隷書東海道」といった東海道五十三次を題材にした揃物や、晩年の名作「名所江戸百景」に代表される、江戸の名所を題材にした揃物を数多く手掛けました。本展では保永堂版「東海道五拾三次之内」や「冨士三十六景」以外にも、広重が手がけた風景画を紹介いたします。
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歌川広重「名所江戸百景 水道橋 駿河台」(前期展示)

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歌川広重「東海道五十三次 大尾 京」(後期展示)

<見どころの一点>
①保永堂版「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」(前期展示)

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①は東海道をはじめ、五街道の起点となる日本橋を描いた図。「朝之景」とあるように、早朝、参勤交代の行列が橋を渡る光景が描かれています。画面右の木戸の陰には犬が二匹見えますが、その奥には罪人の晒し場がありました。画面左では、魚売りたちが道を空けようとしています。その左に見えるのは、幕府のお触れを掲示する高札場です。

②保永堂版「東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出」(サントリー美術館蔵)(前期展示)

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さて、②を見て下さい。①と良く似た絵ですが、題名は「東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出」と少し異なります。いわゆる「変わり図」と呼ばれる異版で、「朝之景」と同様に、画面奥には橋を渡る大名行列が描かれていますが、手前に描かれる人物たちは、「朝之景」に比べるとかなり増えて賑やかです。花売りや小僧、住吉踊りの集団などが描かれ、画面中央には、「朝之景」で右側の木戸のあたりにいた茶色い犬の姿も見えます。
 保永堂版「東海道五拾三次之内」は、長年に渡り売れ続けたものと考えられ、色を少し替えたり、版が付け加えられるなど、細部に変更が加えられた異版が多く見られます。その中でも本図は、図様も大きく変更が加えられた興味深い例といえるでしょう。

イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程 時間

5月3日(火・祝)・12日(木)・17日(火)
6月7日(火)
6月18日(土)14:00~ / 15:00~  
6月23日(木)14:00~ / 15:00~

場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
【広重を巡る入館料相互割引プラン】                    ~2016年春は広重づくし!サントリー美術館と連携

本展チケットをサントリー美術館の下記展覧会でご提示いただくと、100円割引でご覧いただけます。また、下記展覧会のチケットを当館でご提示いただくと、本展、「歌川広重 ~東海道五十三次と冨士三十六景」を100円割引でご覧いただけます。
(1枚につき1名様、1回限り有効)※他の割引との併用はできません。

本展の開催と時を同じくして、4月29日からサントリー美術館では、「原安三郎コレクション 広重ビビッド」と題した展覧会が始まります。広重晩年の代表作である「名所江戸百景」と「六十余州名所図会」という二つの揃物を中心に広重の名品が展観されます。つまり両館の展示を見ることで、保永堂版「東海道五拾三次之内」、「六十余州名所図会」、「名所江戸百景」、「冨士三十六景」という4つの大作を一気に見られることになります。入館相互割引も用意し、明治神宮前(太田記念美術館)と乃木坂(サントリー美術館)という千代田線沿線の2館で、「広重づくし」が楽しめます。


  

入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
開館日カレンダー

休館日

没後150年記念 破天荒の浮世絵師 歌川国芳

「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 旱地忽律朱貴」
特別展
2011年6月1日(水)~7月28日(木)
前期(豪傑なる武者と妖怪):6月1日(水)~6月26日(日)
後期(遊び心と西洋の風):7月1日(金)~7月28日(木)
※前後期で展示替え

6月6・13・20・27~30日/7月4・11・19・25は休館となります。

主催:太田記念美術館・NHK・NHKプロモーション

展覧会の概要

江戸時代後期を代表する浮世絵師、歌川国芳(1797-1861)。幕府の財政が逼迫し世情が不安定だった当時、その閉塞した社会状況を打破するようなパワフルな武者絵やユーモラスな戯画を描いて大衆の喝采を浴びたのが国芳でした。浮世絵といえば、歌麿、写楽、北斎、広重のような江戸情緒あふれる作品を思い浮かべる人が多いでしょう。ところが、国芳は私たちが抱いている浮世絵の常識を覆してくれる破天荒な作品の数々を生み出していたのです。
かつて国芳は浮世絵の専門家からも十分な評価を受けていませんでしたが、近年、近代感覚あふれる斬新な造形性が再評価され、現代の若者たちをも魅了するようになりました。その人気は海外にまで広まり、2009年にはロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで、2010年にはニューヨークのジャパン・ソサエティー・ギャラリーで大規模な展覧会が開催され、大きな反響を呼びました。
今年は歌川国芳の没後150年にあたります。これを機に開催する本展覧会では、武者絵や妖怪画からなる【前期 豪快なる武者と妖怪】と、戯画や洋風画からなる【後期 遊び心と西洋の風】という二部構成に分け、多岐にわたる国芳作品の魅力を全く異なる二つの角度から紹介いたします。現代もなお私たちを圧倒してやまない「破天荒の浮世絵師」、歌川国芳のパワーを実感し、その芸術世界をご堪能ください。
「相馬の古内裏」

「相馬の古内裏」(個人蔵)(前期展示)

展覧会の構成

前期(豪傑なる武者と妖怪):6月1日(水)~6月26日(日)

1.〈勇〉武者絵
画面が爆発するような激しい力に溢れた武者絵は、国芳にとって一番の得意ジャンルです。『水滸伝』に登場する豪傑たちを描いた「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」というシリーズが大ヒットして以降、国芳が次々と描く躍動感あふれる武者たちの雄姿に江戸っ子たちは熱狂したのです。
「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 旱地忽律朱貴」

「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 旱地忽律朱貴」
(個人蔵)(前期展示)

「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達」

「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達」
(太田記念美術館蔵)(前期展示)

2.〈怪〉妖怪画 
人間に襲いかかる巨大な骸骨。メタリックな鱗を持つ巨大な魚。漆黒の彼方から突如現れる妖怪。空想力抜群の国芳の手になる妖怪や怪獣たちはパワフルで独創的です。今まで見たことのない空想の世界に江戸っ子たちは驚き、感嘆の声をあげました。現代の妖怪ブームのルーツが国芳にあると言ってもよいでしょう。
「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」

「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」(個人蔵)(前期展示)

「小子部栖軽豊浦里捕雷」

「小子部栖軽豊浦里捕雷」(個人蔵)(前期展示)

「碓井又五郎飛騨山中打大猿」

「碓井又五郎飛騨山中打大猿」
(個人蔵)(前期展示)

「鬼童丸」

「鬼童丸」(個人蔵)(前期展示)

3.〈華〉役者絵
江戸時代の歌舞伎役者たちは今風に言えばイケメンの人気スター。その華のある凛々しい姿だけでなく、身にまとった粋で伊達なファッションは、江戸の女性たちの心を魅了したことでしょう。
「達男気性競 金神長五郎」

「達男気性競 金神長五郎」(個人蔵)(前期展示)

「達男気性競 白井ごん八」

「達男気性競 白井ごん八」(個人蔵)(前期展示)

後期(遊び心と西洋の風):7月1日(金)~7月28日(木)

4.〈遊〉戯画 
ユーモアとウィットが満載の戯画こそ、江戸っ子国芳の真骨頂。天保の改革という幕府の禁制をかいくぐって閉塞した社会を笑いのめそうとする、庶民たちの「笑いの文化」がそこにはあります。遊びの精神にあふれた奇妙奇天烈な造形表現も見逃せません。
「荷宝蔵壁のむだ書」

「荷宝蔵壁のむだ書」(個人蔵)(後期展示)

「人をばかにした人だ」

「人をばかにした人だ」(個人蔵)(後期展示)

「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達」

「里すずめねぐらの仮宿」(太田記念美術館蔵)(後期展示)

「流行猫の曲手まり

「流行猫の曲手まり」(個人蔵)(後期展示)

「其面影程能写絵 猟人にたぬき金魚にひごいっこ」

「其面影程能写絵 猟人にたぬき金魚にひごいっこ」(個人蔵)(後期展示)

5.〈爽〉美人画
浮世絵といえば誰もが思い浮かべるのが美人画。国芳が描く美人たちは、頽廃的な匂いの無い健康で爽やかな風貌です。垢ぬけたファッションに身をつつんだ、気持ちのさっぱりしたおきゃんな娘たちの姿に思わず親しみがわいてきます。
「大願成就有ヶ瀧縞 金太郎鯉つかみ」

「大願成就有ヶ瀧縞 金太郎鯉つかみ」(個人蔵)(後期展示)

「山海愛度図会 ヲゝいたい」

「山海愛度図会 ヲゝいたい」  (個人蔵)(後期展示)

6.〈憧〉洋風画 
異国に憧れた国芳は長崎を通してもたらされた西洋の銅版画から、人物のポーズやモチーフの形、陰影の表現を貪欲に学びました。国芳の洋風表現の典拠となった17世紀オランダの書物『東西海陸紀行』を合わせて展示し、国芳がいかに西洋絵画を咀嚼し自分の表現としたかを検証します。
「近江の国の勇婦於兼」

「近江の国の勇婦於兼」(太田記念美術館蔵)(後期展示)

「二十四孝童子鑑 薫永」

「二十四孝童子鑑 薫永」(個人蔵)(後期展示)

展覧会の見どころ

1.国芳の代表作が勢ぞろい ~骸骨、スカイツリーから猫まで

巨大な骸骨が襲いかかってくる「相馬の古内裏」(前期展示)、スカイツリーを思わせる謎の塔が描かれた「東都三ツ股の図」、猫たちが集まって文字をかたどった「猫の当字 かつを」(後期展示)など、国芳の代表作を含めた240点以上の作品が出品します。
「東都三ツ股の図」

「東都三ツ股の図」(個人蔵)(後期展示)

「猫の当字 かつを」

「猫の当字 かつを」(個人蔵)

2.前期と後期で全く異なる展示内容 ~二つのテーマで国芳の魅力に迫る

国芳の作品の魅力は一言で説明することはできません。そこで本展では、武者絵や妖怪画からなる【前期 豪快なる武者と妖怪】と、戯画や洋風画からなる【後期 遊び心と西洋の風】という二部構成とすることで、国芳の特色をよりはっきりと浮かび上がらせます。国芳作品の幅広さがより体感できることでしょう。(前期後期で全て展示替えを致します。)

3.80年ぶりに発見された話題の作品を展示

「かさねのぼうこん」(個人蔵)(7/1~7/18展示)

「かさねのぼうこん」(個人蔵)(7/1~7/18展示)

昨年8月、80年ぶりに発見されたことで話題となった、「かさねのぼうこん」(個人蔵)が展示されます。女性の幽霊を寄せ絵の手法でユーモラスに描いた作品で、国芳の奇抜な発想が見事に表現されています。(展示期間:7/1~7/18)

4.国芳の西洋画のお手本を紹介  ~最新の研究成果の公開

近年の研究で、国芳がオランダの書物『東西海陸紀行』(個人蔵)を手本として、自らの作品にそのモチーフを取り組んでいたことが明らかとなりました。本展では『東西海陸紀行』を国芳の作品と合わせて展示し、国芳と西洋画との関わりを探ります。(後期展示)
『東西海陸紀行』

『東西海陸紀行』(個人蔵)(後期展示)

「東都名所 浅草今戸」

「東都名所 浅草今戸」(太田記念美術館蔵)(後期展示)

5.国芳自筆の貴重なデッサンを一挙公開  ~所狭しと描かれた役者たち

5m近くに及ぶ絵巻の中に、所狭しと歌舞伎役者たちを描いたデッサン、「国芳芝居草稿」(個人蔵、前期展示)を全図一挙に紹介いたします。その達者な描写力に、国芳の修練の跡を感じることができるでしょう。(前期展示)
「国芳芝居草稿」

「国芳芝居草稿」(個人蔵)(前期展示)

入館料

リピーター割引あり (会期中2回目以降にご鑑賞の方は、半券と引換にて100円割引)

一般1000円
大高生700円
中学生以下無料
開館日カレンダー
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