2009年度の展覧会
龍馬の見た江戸 -幕末の風景-
3月8・15・23日は休館となります。
※展覧会の図録は作成いたしません。
はじめに
動乱の時代、幕末。江戸ではそのような状況の中でもさまざまな浮世絵が刊行されていました。世情を反映した風刺画や、町の様子を描いた名所絵を通して、坂本龍馬が活躍していた幕末の江戸の風景をさまざまな角度から浮かび上がらせます。
歌川広重「名所江戸百景 南品川鮫洲海岸」
龍馬が初めて江戸を訪れた嘉永6年(1853)、ペリー率いる黒船が浦賀に来航しました。本図は、龍馬が警護にあたることを命じられた、土佐藩の下屋敷に近い品川沖の風景です。
1.龍馬が眺めた江戸の風景
龍馬は、嘉永6~7年(1853~54)と安政3~5年(1856~58)、剣術修行のため、故郷の土佐を離れ、江戸の地に滞在しました。その間、江戸の町のさまざまな名所を描いた風景画が刊行されています。歌川広重を中心とするそれらの浮世絵から、実際に龍馬が眺めていたであろう江戸の町の雰囲気が伝わってきます。2.幕末の世情を反映した風刺画
政治や時事問題をそのままに絵画化することが難しかった江戸時代では、内容がすぐには分からないように趣向を凝らした「風刺画」というものが刊行されました。特に幕末では、幕府の政策を揶揄する作品や、さまざまな争いや事件を題材にした作品が数多く作られています。幕末の風刺画を通して、江戸の庶民たちが感じ取っていた歴史のうねりを紹介します。3.珍しい龍馬の役者絵
明治20年、坂本龍馬の芝居が高知市で上演された時に刊行された役者絵です。井口村刃傷事件で切腹した友人の血で染めた下緒を握り締め、新たな国づくりを決意しています。近年発見された、龍馬を描いた貴重な役者絵です。
料金
一般 | 700円 |
---|---|
大高生 | 500円 |
小中生 | 200円 |
イベント
3月の土曜講座・日曜映写会は開催いたします。開館日カレンダー
芳年 -「風俗三十二相」と「月百姿」-
後期:2009年6月2日(火)~6月26日(金)
前期・後期で展示替えあり。
5月7・11・18・25・27~31日/6月1・8・15・22日は休館となります。
1.「風俗三十二相」~官能性溢れる美人画
さまざまな身分や職業の女性たちを描いた、全32枚からなる美人画です。嬉しそう、寒そう、痛そう、などといった、女性たちの心の内の感情を意欲的に表現しようとしています。官能性を帯びたその表情や仕草は、現代の私たちでも一見して共感できる魅力を放っています。明治21年(1888)の作。2.「月百姿」~幻想的な歴史画
月にちなんだ物語や説話を題材とした、全100枚からなる歴史画です。平安時代や戦国時代の武将たちや絶世の美女、幽霊や妖怪、滑稽な戯画など、同じ月でもそのジャンルは驚くほど広範囲に渡ります。芳年ならではの視点から切り取った迫力ある構図の作品がある一方、月夜の静けさがしみわたるような静謐さ漂う作品もあり、見る人を飽きさせないでしょう。明治18~24年(1885~91)の作。入館料
一般 | 700円 |
---|---|
大高生 | 500円 |
小中生 | 200円 |
イベント
5月、6月の土曜講座・日曜映写会は開催予定です。開館日カレンダー
浮世絵の雪景色
12月7・14日は休館となります。
※12月展覧会の図録は販売いたしません。
はじめに
「雪月花」という言葉があるように、古来、日本人は四季をいろどる美しい景物のひとつとして雪をとらえてきました。江戸時代には、季節ごとの行楽行事が庶民生活に浸透していくなかで月見や花見の名所だけでなく、隅田川や寛永寺といった雪見の名所が出現しました。江戸時代の人々は、現代の私たちよりも雪景色を情趣あるものとして楽しんだのではないでしょうか。本展覧会では江戸の人々が愛でた雪景色を、浮世絵を通してお楽しみください。北斎・広重・国貞・英泉―人気絵師たちが描く雪景色
葛飾北斎や歌川広重は、雪に覆われた江戸の町や全国の名所の風景を描いています。雪の中で営まれる庶民の日々、また山や川に雪がしんしんと降る静寂な景色が広がります。一方、溪斎英泉や歌川国貞ら美人画の名手は、降りしきる雪のなか傘を差し、あるいは雪を眺める女性たちの姿を、色香を添えて描きました。物語を彩る雪景色
古典物語や歌舞伎を題材とした作品にも雪景色を見ることができます。静かに降りつもる雪や激しく吹きすさぶ雪。背景に描かれた様々な雪が、物語の場面を盛り上げています。
雪の意匠
ときには背景や着物の意匠として、雪の結晶の模様や雪が降りつもった松葉などが画面を飾ります。絵に季節感を添える、江戸の人々が親しんだ雪の意匠を紹介します。
入館料
一般 | 700円 |
---|---|
大高生 | 500円 |
小中生 | 200円 |
イベント
12月は『太田記念美術館コンサート 浮世絵を聴く vol.3』(有料)を開催致します。開館日カレンダー
太田記念美術館 開館30周年記念 江戸の彩 珠玉の浮世絵コレクション
後期:2016年1月30日(土)~2月24日(水)
※前後期で展示替え
1月4・12・18・25・27~29日/2月1・8・15・22日は休館となります。
はじめに
太田記念美術館は昭和55年(1980)1月、原宿にオープンしました。来年1月で開館30周年を迎えます。当館の収蔵品の核となるのは、東邦生命会長を勤めた実業家・五代太田清藏(1893~1977)が収集した浮世絵コレクション約1万2千点。五代太田清藏は多くの浮世絵が欧米へ流出したことを嘆き、大正末期から亡くなる昭和52年(1977)まで、半世紀以上にわたって収集活動を続けました。本展覧会では、太田記念美術館所蔵の膨大な作品の中から名品のみを選りすぐり、一堂に公開いたします。コレクションは菱川派など初期浮世絵から大正新版画まで幅広い年代の作品を含み、まさに浮世絵の歴史を通観できる内容となっています。また、優れた保存状態と美しい彫・摺の作品が数多く含まれることも、当コレクションの特色のひとつです。春信・歌麿・写楽・北斎・広重をはじめ、数年に一度しか見られない珠玉の名品が勢ぞろいする本展覧会を通じ、あらためて浮世絵や江戸文化の魅力に触れてみてください。1.原宿に生まれて30年 -世界有数の浮世絵美術館-
太田記念美術館が銀座で最初に活動を開始したのは昭和52年(1977)。3年間の準備期間を経て、昭和55年(1980)原宿に正式オープンし、来年1月でちょうど30周年をむかえます。世界有数のコレクションを所蔵する浮世絵専門の美術館として、さまざまな視点から展示活動を行い、開催した展覧会は準備期間や館外展を含めると400近くに達します。海外の美術館との交流も盛んで、近年ではギメ東洋美術館、ヴィクトリア アンド アルバート美術館、ベルギー王立美術歴史博物館、同王立図書館などのコレクション展を開催しています。2.1万2千点を超える珠玉のコレクション
当館のコレクションは五代太田清藏が収集した浮世絵1万2千点のほかに、故長瀬武郎氏寄贈による北斎のコレクション626点や、関西の豪商・鴻池家に伝わった約千点の扇絵コレクションなどを含み、現在も収集活動は続けられています。また当コレクションはその膨大な数だけでなく、すぐれたコンディションを保ち、摺られた当初の色彩を残す美しい作品が多いことをその特色としています。3.200年以上におよぶ浮世絵の歴史を体感
菱川派から始まり、錦絵を草創した春信、寛政時代に人気を博した歌麿や写楽、天保時代に名所絵で一世を風靡した北斎・広重、そして幕末・明治の錦絵から大正新版画まで―当館のコレクションにはさまざまな時代の作品がバランスよく含まれます。本展覧会を見ることで、200年以上におよぶ浮世絵の歴史を一望することができるでしょう。また浮世絵を通して、江戸文化の移り変わりの様子を感じてみてください。4.春信・歌麿・写楽・北斎・広重―名品中の名品が勢ぞろい―
浮世絵の顔料はとても繊細で、光などにあたることですぐに劣化してしまいます。そのため保存や展示には細心の注意が必要であり、名品になればなるほど展示される機会は限られてきます。本展では、そんな数年に一度しか見られない作品が一堂に勢ぞろいいたします。春信、写楽、歌麿、広重、北斎―珠玉の名品の数々を、ぜひこの機会にご鑑賞ください。料金
一般 | 1000円 |
---|---|
大高生 | 700円 |
小中生 | 400円 |
イベント
1・2月の土曜講座・日曜映写会は開催いたしません。開館日カレンダー
名優たちの系譜 -幕末・明治の歌舞伎と現在-
9月7・14・24日は休館となります。
はじめに
九代目市川団十郎、五代目尾上菊五郎、三代目沢村田之助―。本展でテーマとするのは、幕末に生まれ、江戸から明治へと移り変わる激動の時代を生きた役者たちの姿です。彼らは江戸の歌舞伎を継承する一方で、明治維新を経験し、西洋から押し寄せてくる文化や制度に翻弄されながら、歌舞伎のありかたを模索し続けました。重厚な歴史劇を志向し、歌舞伎を欧米の演劇に匹敵する芸術へ育てようとする流れに身を投じた、九代目市川団十郎。世話物を得意とし、団十郎と人気を二分した五代目尾上菊五郎。10代から天性の才能をうたわれ、人気絶頂となりながら難病に苦しみ、手足を切断してもなお舞台に上がり続けた悲劇の女形、三代目沢村田之助。その激動の生涯の一場面一場面を、当時の絵師たちは浮世絵に残しています。本展では幕末から明治にかけ、第一線で活躍した絵師たち―三代豊国、芳幾、国周、豊斎らが描いた作品を通して、名優たちの活躍をご覧いただきます。幕末から明治にかけて高度に発達した彫・摺による、役者絵の豪華な画面をお楽しみください。また浮世絵とあわせて、明治時代の役者たちの写真、そして彼らの名前を受け継いだ現代の歌舞伎俳優の写真を展示いたします。浮世絵に描かれた歌舞伎の世界が、現在にも脈々と続くものであることを再認識していただき、歌舞伎と役者絵という、深く関わりあう2つの世界が持つ魅力に触れてみてください。1.激動の時代を生きた名優たちのすがた
嘉永~安政年間(1848~1860)ころになると、七代目市川団十郎(五代目市川海老蔵)、三代目尾上菊五郎ら、それまで歌舞伎を牽引してきた大物役者たちが相次いで亡くなります。代わって歌舞伎界の中心に台頭してきたのが、初代河原崎権十郎(のちの九代目市川団十郎)、十三代目市村羽左衛門(のちの五代目尾上菊五郎)らの若い世代です。彼らが本格的に活躍を見せるのは、明治維新まであとわずかという時代。いわば江戸時代の歌舞伎を体現する最後の世代といえるでしょう。幕末から明治維新にかけての激動の時代を生きた、彼らの活躍を、三代豊国、国周、芳幾、芳年らの作品を通してご紹介いたします。2.幕末・明治の錦絵にみる精緻な彫・摺の世界
幕末になると、錦絵の彫・摺の技術はきわめて高くなり、明治に入ると西洋由来の顔料も多く用いられるようになりました。そのため、この時期の錦絵は鮮烈な色彩と精緻な彫・摺によりたいへん豪奢なものとなっています。国周の代表作である、具足屋版役者大首絵のシリーズや、当時発達しつつあった写真技術を意識した芳幾の「俳優写真鏡」など、高度な彫・摺の技術に裏付けられた作品を展示いたします。3.明治維新と劇場の興亡
江戸時代、江戸には幕府から公認された江戸三座(中村座、市村座、守田座)と呼ばれる歌舞伎劇場がありました。明治時代になると、劇場の上限は10に増やされ、激しい劇場間の競争が起きます。その中で、新富座や歌舞伎座などの新たな劇場が生まれる一方、中村座など旧来の劇場は衰退していきました。本展では、錦絵に描かれた劇場の様子を通して、幕末から明治維新にかけての劇場の移り変わりをご紹介いたします。
4.写真と錦絵との展示で感じる歌舞伎の伝統
現在活躍する歌舞伎役者の名跡の多くは、江戸時代から受け継がれているものであり、そのご先祖の活躍は錦絵に生き生きと描かれています。錦絵に描かれた役者たちの似顔絵は、本当に本人に似ているのでしょうか。そこで明治の役者を写した古写真をみると、当時の絵師たちが役者の風貌をいかにうまく捉えているかがよくわかります。本展では、古写真を展示することで、錦絵に描かれた役者たちの姿をよりリアルに感じていただくとともに、その子孫である現代の役者の写真もあわせてご紹介し、錦絵の時代と、現代の歌舞伎との間に流れる伝統を感じ取っていただける内容となっています。入館料
一般 | 700円 |
---|---|
大高生 | 500円 |
小中生 | 200円 |
イベント
9月の土曜講座・日曜映写会は開催予定です。開館日カレンダー
江戸時代を旅してみよう
後期:2009年8月1日(土)~8月26日(水)
※前後期で展示替えあり。
7月6・13・21・27~31日/8月3・10・17・24日は休館となります。
※この展示の図録は作成致しません。
はじめに
江戸時代後半、旅をすることが庶民の間で広く行われるようになります。伊勢神宮へのお参りなどを最終の目的として、人々は街道を歩き、行く先々で名所へ立ち寄り、旅を楽しみました。浮世絵には、当時の最新の世相が反映されます。葛飾北斎や歌川広重、歌川国芳、溪斎英泉といった多くの絵師たちが、江戸や全国の名所、街道の様子、そして旅人たちの姿を数多く描いたのです。今回の展示は、浮世絵に描かれたさまざまな名所を見ながら、江戸時代にタイムスリップして当時の旅人たちの気分を味わってみようというテーマで開催いたします。まず、ウォーミングアップで江戸の町を散策。次に江戸を飛び出し、街道を旅して各地の名所を巡ります。浮世絵に描かれた名所の中には、現在でも変わらずに多くの人が訪れる場所もたくさんあります。作品を見ながら、自分が訪れたことのある場所を探してみるのも興味深いでしょう。浮世絵を見るのがはじめてという方や、小中学生の皆さんにも気楽に楽しんでいただける展覧会となっております。ぜひご家族で、浮世絵に描かれた色鮮やかな世界をお楽しみください。1.江戸時代へタイムスリップ!-江戸の町を散策しよう-
江戸時代へのタイムスリップの旅は、現在の東京にあたる、江戸の町からスタートします。全国の名所を訪れる前に、まず江戸の町をぶらりと散策してみましょう。江戸を描いた浮世絵の中には、皆さんが目にしたことのある風景が含まれているかもしれません。たとえば広重が「名所江戸百景」で描いた浅草寺の様子は、今でも有名な雷門から境内を眺めた図。現在の建物はのちに再建されたものですが、絵から当時の光景を容易に想像することができるでしょう。皆さんの知っている場所が、江戸時代の浮世絵の中にどのように描かれているのか、そして今とどこが違っているのか、じっくり鑑賞してみてください。2.さあ出発!街道を旅してみよう -東海道と中山道-
江戸時代の人々は伊勢神宮や金毘羅宮などにお参りすることを目的として、さかんに旅をしました。しかし、旅はお金もかかり、移動も徒歩で行うため、今ほど安易なものではありませんでした。それでも人々はお金を出し合い、くじ引きで代表者を決め、交代で旅に出るなどの工夫をしたようです。当時の旅人たちが伊勢神宮などへ行くのに用いた道が東海道で、帰り道としては中山道がしばしば使われました。街道と宿場町の様子は、歌川広重や溪斎英泉といった浮世絵師がいきいきと作品に描いています。浮世絵を見ながら、両街道のはじまりである日本橋を出発し、江戸の町を離れ、長い徒歩の旅の雰囲気をお楽しみ下さい。3.全国の名所を巡ろう -名山・寺社・川と橋など-
浮世絵には、全国に散らばる名所が数多く描かれています。当時の庶民にとって、旅は一生のうちに何度もできるというものではありませんでした。多くの人たちは浮世絵を見て、まだ訪れたことのない名所の光景に思いを馳せたことでしょう。富士山をはじめとする各地の名山、琵琶湖のほとりにある八つの名所―近江八景、厳島神社などの有名な神社やお寺、鳴門海峡の渦潮といった自然現象、錦帯橋に代表される各地の有名な橋など、浮世絵に描かれたさまざまな景勝地の中には、現在でも観光名所として親しまれているところが少なくありません。街道から一歩足をのばし、当時の旅人の気分になってさまざまな名所の様子をご覧ください。4.浮世絵初心者や小中学生の方へ -浮世絵入門コーナー-
浮世絵って何?どんな種類があるの?どんな風に発展したの?名前はよく耳にする浮世絵ですが、実際どんなものなのか知らない方もいらっしゃることと思います。本展示ではさまざまな浮世絵の種類や、その長い歴史などを、作品を展示しながらわかりやすく解説した浮世絵入門コーナーを併設します。ぜひ親子そろってご鑑賞いただき、浮世絵の楽しさや奥深さに触れてみてください。入館料
一般 | 700円 |
---|---|
大高生 | 500円 |
中学生以下 | 200円 |
イベント
7月の土曜講座・日曜映写会は開催予定です。 8月は夏期文化講座(有料)を開催致します。開館日カレンダー
江戸園芸花尽し
後期:2009年11月1日(日)~11月26日(木)
※前後期で展示替え
10月5・13・19・26~31日/11月2・9・16・24日は休館となります。
※10・11月展示、図録『江戸園芸花尽し』はご好評につき完売致しました。
はじめに
万葉の昔から四季の移ろいを愛で、野に遊び花を詠んだ私たち日本人。花は人々の糧となって暮らしにとけこみ、底流として息づいてきました。そして、平和の続いた江戸時代。この流れは大きなうねりとなり、公家や将軍、大名、そして庶民たちまで身分を越えた「園芸文化」として頂点を極めたのです。本展は、幕末に来日した外国人にも賞賛された江戸園芸文化を、庶民に愛された浮世絵から探る初めての試みです。四季折々の“花咲く浮世絵”を通して、世界でも類の見ない「園芸文化」をご堪能下さい。
1.世界が驚嘆する江戸の園芸文化
花や緑の栽培、あるいはガーデニングといったものに興味を持たれている方は多いことでしょう。しかし、はるか昔の江戸時代、現代のガーデニングブーム以上に、園芸ブームというものがあったことはご存知でしょうか?将軍や大名たちといった身分の高い武士たちはもちろんのこと、下町で暮らすごくごく普通の庶民たちまで、花や緑を熱心に栽培し、鑑賞していたのです。その日本人の花に対する情熱は、幕末に日本を訪れた植物学者、ロバート・フォーチュンが、驚きをもって日記に書きとめるほどでした。
2.浮世絵から江戸の園芸文化を探る初の試み
江戸の園芸文化については、歴史学、民俗学、植物学など、さまざまな見地から研究され、その全貌が少しずつ明らかになってきています。しかしながら、江戸の庶民たちが親しんでいた「浮世絵」という視点からは、まだ十分には考察されてはいません。本展覧会は、浮世絵という絵画作品を中心にして、江戸の園芸文化の豊かさを探ろうとする初の試みです。3.売る、買う、飾る―暮らしの中の園芸
花や緑にあふれた生活を送る江戸っ子たち。縁日の夜店に行って鉢植えを買ったり、大事に育てては部屋や庭に飾ったり。なかには本業を忘れて、熱心に栽培に取り組むような人たちも大勢いました。娯楽であり、癒しでもある園芸を楽しむ江戸っ子たちの姿を、浮世絵を通してご覧ください。4.江戸の植木鉢の魅力
江戸時代、大輪の花を咲かせた陶磁器の文化は、素晴らしい植木鉢も生み出し、園芸文化の一翼を担うこととなりました。本展では、幕末に制作された意匠をこらした貴重な鉢を、鉢を描いた浮世絵とともにご紹介いたします。鉢と浮世絵を比べてみることで、江戸時代の園芸が一層身近に感じられることでしょう。入館料
一般 | 1000円 |
---|---|
大高生 | 700円 |
小中生 | 400円 |
展覧会の概要(予定)
序章 花を着る | 花柄の着物に身を包む女性たち |
---|---|
1.暮らしのなかの園芸 | 園芸に親しむ江戸っ子たち |
2.百花繚乱 | 浮世絵に描かれたさまざまな園芸植物 |
3.人気キャラクター | 歌舞伎の役柄として登場する植木売り |
4.鉢植えにまつわる物語 | 謡曲「鉢の木」を題材にした浮世絵 |
5.紀州徳川家の園芸趣味 | 徳川家でも愛好された園芸文化 |
6.子どもたちの園芸知識 | 子供向けに描かれたおもちゃ絵 |
7.花と緑の江戸の町 | 四季折々の花が咲く江戸の観光名所 |
開館日カレンダー
ジャパニーズ・ビューティ-浮世絵にみる日本女性の美-
4月6・13・20日は休館となります。
※本展覧会の図録は作成いたしません。
1.時代によって美の基準はかわる -江戸の美と流行-
テレビなどで一昔前のドラマや映画を目にしたとき、そこに映る女優さんのメイクや髪型、服装に時代の隔たりを強く感じることがあります。現代では、流行が常に生み出され、それまでのファッションはすぐに時代遅れとなります。現代ほどめまぐるしくはないにせよ、事情は江戸時代も一緒。浮世絵では、当時の最新の流行が常に描かれましたが、そこに描かれた女性たちは、時代によって驚くような外見の変化を見せるのです。
少女のように可憐な女性表現 ~鈴木春信~
明和年間(1764~1772)を中心に作品を描いた鈴木春信は、錦絵という多色摺りの技法の草創に関わった絵師として広く知られています。春信は、錦絵による美しい色彩もさることながら、まるで少女のようなかわいらしい女性を描き、大変な人気を得ました。
すらりとした八頭身美人 ~鳥居清長~
安永から天明年間(1772~1789)を中心に数多くの美人画を手がけた鳥居清長。春信の時代からそれほど年代を経ていないにも関わらず、清長は春信とはまったく異なる、八頭身のスレンダーな女性を好んで描き、大好評を得ました。江戸の流行がとても移ろいやすいものであったことがうかがえます。
退廃的で艶やかな美人 ~溪斎英泉~
図は文政から天保年間(1818~1844)を中心として活動した絵師、溪斎英泉の美人画。よく見ると、女性の下唇は緑がかった色で描かれています。これは笹色紅といい、唇を青光りさせる当時流行の化粧法です。現代の感覚でみると少し理解しがたいメイクですが、当時の遊女たちの退廃的な艶やかさをよく伝えています。
2.初期浮世絵から大正新版画まで -200年以上におよぶ、美の変遷を紹介-
本展で扱うのは、初期浮世絵の時代から、大正時代の新版画運動にいたるまで、200年以上という長い期間。展示を通じて、日本人の女性に対する美的感覚がどのように移り変わったのか、感じ取っていただければ幸いです。現代の美の基準に照らし合わせて、どの時代の作品が一番美しい女性像か、考えてみるのも興味深いかもしれません。イベント
4月の土曜講座・日曜映写会は開催予定です。入館料
一般 | 700円 |
---|---|
大高生 | 500円 |
小中生 | 200円 |