花魁ファッション

 企画展
2018年11月2日(金)~12月20日(木)
前期 11月2日(金)~11月25日(日) 後期 11月30日(金)~12月20日(木)
※前後期で全点展示替え
 
11月5、12、19、26~29、12月3、10、17日は休館します。

歌川豊広「観桜酒宴図」(後期)

遊興の別天地として繁栄した吉原。そのトップに君臨したのが花魁(おいらん)でした。花魁は現代でも繰り返し映画や漫画のヒロインになるなど、その浮世離れした魅力は時代を超えて人々を惹きつけています。 花魁と言えばまず華やかなファッションが思い浮かびますが、江戸時代、花魁となるには美貌だけでなく、教養を備え、芸事にも秀でていることが必須でした。花魁のもとへは、武士や裕福な町人をはじめ当時の著名人も多く通い、彼らを中心として、吉原は文化サロンの様相を呈することもありました。セレブたちとの華麗な交流も注目の的ともなったことでしょう。一方で、彼女たちの置かれた過酷な境遇を理解する江戸の人々は、遊里を「苦界(くがい)」とも呼び、その中で生きる花魁たちを修行する達磨や悟りの境地に近い普賢菩薩に例えることもありました。 本展では花魁のファッショナブルな装いや、日常の生活を捉えた作品をご紹介いたします。江戸文化のなかで独特の存在感を示す花魁。その魅力に、浮世絵を通して触れてみてください。

ゴージャスなファッション

美しくあることが何よりも求められた花魁。いくつもの櫛や簪を挿したゴージャスな髪型、季節ごとに変わる贅を尽くした衣装、前結びの帯や三つ歯の下駄など、浮世絵には独特のファッションが描かれています。時代によって流行は変わりますが、遊女の姿は常にその先端であり続けました。一般の女性にとってそのファッションは取り入れ易いものではありませんでしたが、最新のモードに身を包む花魁たちの姿は大いに魅力的だったと言えるでしょう。

鳥高斎栄昌「扇屋見世略 あやこし はしたて はなひと」(前期)

歌川国貞「松葉屋内代々山 かけを にしき」(後期)

歌川国貞「当世美人合 おゐらん」(前期)

溪斎英泉「傾城江戸方格 水道橋 丁子屋内唐歌」(前期)

郭(くるわ)でくらす

喜多川歌麿「美人読玉章図」(後期)

食い入るように手紙を読み、かいがいしく客の世話をする。またある時はヤキモチを焼き、朋輩たちとくつろぐ。そんな花魁たちの人間らしい表情も、浮世絵には描き出されています。 客の目に触れない時間も含めて、遊女たちが遊里の中でいかに過ごしたのかをご紹介いたします。

喜多川歌麿「青楼十二時 続 卯ノ刻」(前期)

喜多川歌麿「青楼七小町 大文字屋内多賀袖」(後期)

肉筆画の世界

宮川長春「美人立姿図」(前期)

肉筆美人画は、浮世絵において最も早くから手がけられてきた人気のジャンルです。なかでも遊女を描く作品は、ひときわ豪華で丁寧な彩色の作品も多く、時に大名などの貴顕に所有されることもありました。 本展では宮川長春「美人立姿図」や喜多川歌麿「美人読玉章図」、鳥文斎栄之「吉原十二時絵巻」など、太田記念美術館が所蔵する肉筆画の優品を多数展示いたします。版画とは異なる、緻密で、時に洒脱な肉筆美人画の世界をご堪能ください。

鳥文斎栄之「吉原十二時絵巻」(後期)

見どころの作品

歌川豊春「桜下花魁道中図」(前期)

                         

満開の桜の下では、花魁道中が行われています。中央の花魁は、黒地に若松模様の品あるデザインの仕掛(しかけ)を羽織りますが、下に着た赤地に桜花を散らした間着(あいぎ)との対比が大変艶やかです。ところで、彼女を取り巻く女性たちは誰なのでしょうか。

左右の少女は妹分の禿(かむろ)。その後ろ、向かって右は振袖新造(ふりそでしんぞう)と呼ばれる、禿よりは年長の遊女見習いです。左はおそらく引退した遊女が務めた番頭新造(ばんとうしんぞう)。花魁の身の回りの世話をはじめ、客を魅了する手練手管の手ほどきもしました。

禿は花魁とお揃いの、また新造も赤地に若松という花魁と関係するデザインの振袖を着ており、実に華やかです。そもそも数人を引き連れ引手茶屋に客を迎えに行く花魁道中は格の高いごくわずかな遊女にしか許されなかったもの。人気ぶりが絶頂期にある花魁ならではのものと言えるでしょう。

イベント
学芸員によるスライドトーク
展覧会の見どころを担当学芸員が解説します。
日程 2018年11月6日(火)、10日(土)、16日(金)、30日(金)、12月11日(火)
時間 14:00~(40分程度)
会場 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
トークイベント
演題 吉原遊廓を歩く―江戸と平成
日時 2018年11月24日(土) 14:00~15:30
内容 平成の現在でも、わずかながらに江戸の名残をとどめる吉原遊廓。江戸時代の浮世絵と現在の様子のスライドを交えながら、吉原遊廓の面影を追います。ゲストは、日本で唯一の遊廓専門書店であるカストリ書房の店主で遊廓家の、渡辺豪さんです。
ゲスト 渡辺豪(遊廓家・カストリ書房店主)
会場 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要(先着順) 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料
※障碍者手帳をご提示いただくと、ご本人様とお付添1名まで、入館料から100円割引いたします。(割引の併用はできません) ※中学生以上の学生は学生証をご提示ください。
開館日カレンダー
休館日

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