広重ブルー -世界を魅了した青

企画展
2014年4月1日(火)~5月28日(水)
前期:2014年4月1日(火)~4月27日(日)
後期:2014年5月1日(木)~5月28日(水)

4月7・14・21・28~30日/5月7・12・19・26日は休館となります。

※展覧会の図録は作成いたしません。

はじめに

江戸時代後期を代表する浮世絵師、歌川広重の作品は海を超え、ゴッホやモネなどにも愛されたことは広く知られています。とくに広重作品の大胆な構図、そして美しい青色がおおいに好まれたようです。 広重が活躍した当時、既存の藍色とは異なる、オランダ舶載のベロ藍(ベルリンブルー、プルシアンブルーとも)が中国で安価に生産されるようになりました。浮世絵にもベロ藍がさかんに使用されるようになり、その人気は浮世絵界を席巻。溪斎英泉や葛飾北斎など多くの絵師が次々とこの新しい青色を用いた作品を世に送り出しました。なかでも広重は空や水辺の情景を表現する際、時には大胆に、時には繊細に青色を用いることで作品に豊かな叙情性を盛り込みました。 本展覧会では、初期風景作品「東都名所」から晩年の代表作「名所江戸百景」にいたる広重作品を中心に、ベロ藍を用いた浮世絵作品をご紹介します。国内外で人々を魅了し続ける広重の青色。その美しさの秘密に迫る展覧会です。

1.水と空を描く

数々の風景画の名品を手がけ、人気浮世絵師の名を不動のものとした広重。江戸や全国の名所を描いた作品には多くの海や川、湖などの水辺が取り上げられています。渦巻く海やうねる川の流れ、静かな水面。多彩な表情をみせる水辺、またその上に広がる空の情景を広重はぼかし等の技法を用いてたくみに表現しています。広重の青色に対するこだわりはもとより、摺師の卓抜した技術も見どころのひとつです。
歌川広重「六十余州名所図会阿波鳴門の風波」(後期展示)

歌川広重「六十余州名所図会 阿波鳴門の風波」(後期展示)

歌川広重「名所江戸百景 日本橋雪晴」(前期展示)

歌川広重「名所江戸百景 日本橋雪晴」(前期展示)

歌川広重「東都名所 両国之宵月」(前期展示)

歌川広重「東都名所 両国之宵月」(前期展示)

歌川広重「芦に鴨」(前期展示)

歌川広重「芦に鴨」(前期展示)

2.浮世絵界の「青の時代」

葛飾北斎「冨嶽三十六景 礫川雪ノ旦」(後期展示)

葛飾北斎「冨嶽三十六景 礫川雪ノ旦」(後期展示)

爆発的な人気を得たベロ藍。大人気シリーズとなった北斎「冨嶽三十六景」もまたベロ藍を多用した作品です。北斎に限らず、江戸時代後期の絵師の作品にはこのあたらしい青色が登場します。個性豊かな絵師たちが見せる、それぞれの青をお楽しみください。

歌川国芳「東都名所 てつぽうづ」(前期展示)

歌川国芳「東都名所 てつぽうづ」(前期展示)

歌川貞秀「長崎丸山之図」(後期展示)

歌川貞秀「長崎丸山之図」(後期展示)

<見どころの一点>
歌川広重「東海道五拾三次之内 沼津」(後期展示)

歌川広重「東海道五拾三次之内 沼津」(後期展示)

広重を一躍スター絵師の座に押し上げた大ヒットシリーズ、保永堂版「東海道五拾三次」の一図。東海道十二番目の宿場である沼津(現在の静岡県沼津市)近くを描いたものです。夕闇のなかにぽっかりと浮かぶ満月が葉越しに見えます。画面の多くを占める空や旅人たちの横を静かに流れる狩野川には、ベロ藍がふんだんに使われ、繊細なぼかしによって蛇行する川の影や、深まりゆく闇夜が丁寧に表現されています。月あかりの下、白装束に天狗の面を背負って歩くのは金刀比羅宮への参詣をめざす行者。その先の女性と少女の二人連れについては、伊勢神宮への抜け参りあるいは諸国を遍歴する比丘尼といった説があります。正面に見えるのが沼津宿。夜の旅路もあとわずかです。旅人たちを包む静かな空気が伝わってくるようです。
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
イベント
学芸員によるスライドトーク

※ 展覧会期中のスライドトークは全日程終了いたしました。

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