『江戸の美男子 -若衆・二枚目・伊達男』 春信・歌麿・北斎・国芳が描く男性たち

歌川国芳「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」(個人蔵/ 前期展示)
企画展
2013年7月2日(火)~8月25日(日)
前期:2013年7月2日(火)~7月28日(日)
後期:2013年8月1日(木)~8月25日(日)
※前後期で展示替え

7月8・16・22・29~31日/8月5・12・19日は休館となります。

はじめに

勝川春章「桜下詠歌の図」(前期展示)花の下で和歌を詠む、若く美しい男性に女性たちの熱い視線が注がれる。

勝川春章「桜下詠歌の図」(前期展示)花の下で和歌を詠む、若く美しい男性に女性たちの熱い視線が注がれる。

浮世絵といえば美しい女性たちを描く美人画ばかりが注目されますが、実は、見目麗しい美少年や二枚目の歌舞伎役者、あるいは粋でいなせな伊達男など、美しくてカッコいい男性たちも頻繁に描かれています。手がける絵師も鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳などの主要絵師をはじめ、多数にのぼります。魅力的な男性の姿は絵師にとっても重要な題材であったと言えるでしょう。本展では、男性を描いた作品に焦点をあて、理想とされた男性像の変遷を辿ります。これら浮世絵に登場する男性像を通して、江戸時代の人々の美意識に新たな側面から触れていただければ幸いです。

人気絵師、美男子を描く―春信、清長、歌麿、北斎、国芳、国貞

多くの一流絵師たちが、個性をいかした男性像を世に送り出しました。春信は華奢で中性的な若衆を得意とし、歌麿は遊女や町娘の恋の相手として色気のある若衆や青年を描きました。幕末に活躍した国芳や国貞は、侠客などの勇ましい姿も多く手がけるようになります。時代を牽引した絵師たちが描く男性像からは、人気のある男性像の変遷の歴史も知ることができるのです。
鈴木春信「風流うたひ八景 ゑびらの晴嵐」(前期展示)

   鈴木春信「風流うたひ八景 ゑびらの晴嵐」(前期展示)

歌川国芳「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」(個人蔵/ 前期展示)

歌川国芳「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」(個人蔵/ 前期展示)

江戸の美男子勢揃い!

歌川豊広「観桜酒宴図」(後期展示)吉原遊郭の一場面。主人公は花魁とその隣に座る男性。

歌川豊広「観桜酒宴図」(後期展示)吉原遊郭の一場面。主人公は花魁とその隣に座る男性。

浮世絵に登場する「美男子」のタイプはバラエティーに富んでいます。若く美しい姿で女性はもとより、ときには男性も魅了した若衆。若衆は浮世絵でも女性と見まがう美しさで描写されています。遊里で粋に遊ぶ「通」と称される男性も登場し、人々の注目を浴びます。その知的で洗練されたたたずまいは、大人の男性の色香も漂わせています。一方で「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉に象徴されるように、威勢が良く男気にあふれた男性も江戸っ子には好まれました。さらには光源氏や源義経など、古典に取材した貴公子も絵師は手がけます。江戸っ子が様々な男性の異なる魅力を、楽しんでいたことがわかります。
菊川英山「江戸の花役者ひいき 尾上賀朝」(前期展示)

菊川英山「江戸の花役者ひいき 尾上賀朝」(前期展示)

喜多川歌麿「当世恋哥八契」(たばこと塩の博物館/後期展示)

喜多川歌麿「当世恋哥八契」(たばこと塩の博物館/後期展示)

江戸の男性像を探る―新しい視点

これまで浮世絵の美人画については、様々な見地から研究され、表現の変遷や描かれた女性たちについても多くのことが明らかになってきています。一方で、男性像に絞った考察はまだ十分には行われていません。しかし美人画と同様に、画中の男性像にも、江戸時代の人々の理想や美意識が反映されています。本展は、「男性はいかに描かれたのか」とする視点から、江戸時代文化の諸相へアプローチする初の試みです。
葛飾北斎「若衆文案図」(氏家浮世絵コレクション/後期展示)どこか悩ましげな表情の若衆。書いているのは恋文であろうか。

葛飾北斎「若衆文案図」(氏家浮世絵コレクション/後期展示)どこか悩ましげな表情の若衆。書いているのは恋文であろうか。

歌川国貞(三代目歌川豊国)「花誘吉原の夜雨 東八景ノ内・中村歌右衛門」(後期展示)江戸っ子を魅了した粋な侠客、助六。

歌川国貞(三代目歌川豊国)「花誘吉原の夜雨 東八景ノ内・中村歌右衛門」(後期展示)江戸っ子を魅了した粋な侠客、助六。

<見どころの作品>
歌舞妓堂艶鏡「三代目市川八百蔵の梅王丸」(後期展示)

見得を切る端正な顔立ちの美男子。描かれるのは寛政8年(1796)7月都座「菅原伝授手習鑑」に取材した、三代目市川八百蔵演じる梅王丸です。三代目市川八百蔵は、容貌が優れていたことで知られた歌舞伎役者。没後に記された評判記で「世話狂言にて、姿かつかうのよい人は、故人中車(八百蔵)、今は錦升(五代目松本幸四郎)、梅幸(三代目尾上菊五郎)」と大スターたちとともに名を挙げられるほどでした。 また作者の歌舞妓堂艶鏡は、写楽の大首絵に触発されたとされる作品を発表した絵師。しかし活躍した期間は大変短く、遺作も7点しか確認することができません。いわば伝説の絵師ともいえる歌舞妓堂艶鏡。その歌舞妓堂艶鏡が、当代きっての美丈夫を描いたのが本図なのです。
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程7月3日(水)・6日(土)・9日(火)/8月1日(木)・4日(日)・9日(金)
時間14:00~(40分程度)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
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