幕末・明治の美女たち

月岡芳年「風俗三十二相 遊歩がしたさう」
企画展
2013年2月1日(金)~2月24日(日)

2月4・12・18日は休館となります。

※2月の展示は図録を作成致しません。

はじめに

浮世絵の長い歴史の中で、常に人気のジャンルであったのが「美人画」、つまり当時の美しい女性たちを描いた作品です。本展でテーマとするのは、その中でも幕末から明治にかけての時代です。大きく世の中が移り変わり、西洋の文化が流入する中で、女性たちは過ぎゆく江戸の装いや、あるいは最新の西洋風の髪型や衣装に身を包み、ファッションを楽しみました。
当時活躍した浮世絵師たちも、魅力的な女性たちの姿を浮世絵に数多く描いています。本展は三代歌川豊国が描いた幕末の美人大首絵「今様三十二相」、月岡(大蘇)芳年の美人画の代表作「風俗三十二相」、楊洲周延による揃物「真美人」など、当時描かれた美人画を多数展観しながら、激動の時代に生きた美人たちの姿をご紹介する展覧会です。

幕末 ―混迷の時代に描かれた美女たち

幕末から明治維新にかけては、国内の政治は不安定となり、幕府や朝廷、諸藩を巻き込んで幾度も戦争が起きています。そのような時代の中、浮世絵師や版元は時に諷刺的な作品を出版する一方で、従来通りの美人画や役者絵といった浮世絵をたくましく出版し続けました。例えば三代歌川豊国の晩年の美人画の揃物「二五五四好今様美人」が描かれた文久3年(1863)は、歴史的には下関事件や薩英戦争が起きた時期にあたります。しかし、美しい彫と摺に彩られた美人画は、まるで当時の混乱した世相とは無関係であるかのように華やかです。
三代歌川豊国「今様三十二相 気むつかし相」

三代歌川豊国「今様三十二相 気むつかし相」

三代歌川豊国「二五五四好今様美人 着物好」

三代歌川豊国「二五五四好今様美人 着物好」

明治維新 ―新しい時代を彩る美女たち

月岡芳年「風俗三十二相 遊歩がしたさう」

月岡芳年「風俗三十二相 遊歩がしたさう」

明治維新を迎えると、国家の制度や建築、交通、衣食住など、さまざまな分野に西洋の文化が影響を及ぼしました。明治の先進的な女性たちの中にも、髪型や服装などに西洋風と取り入れる人々が出てきます。浮世絵師たちが描いた美人画の揃物の中には、時折そんな洋装の女性たちが登場しています。例えば月岡芳年が描いた「風俗三十二相 遊歩がしたさう 明治年間妻君之風俗」に描かれるのは、上流階級と思われる西洋のファッションに身を包んだ若い女性の姿。花の飾りのついた帽子をかぶり、洋傘を手にした女性のセンスの良さに目を見張ります。鹿鳴館での演奏会での様子を描いた楊洲周延「欧洲管絃楽合奏之図」なども注目の作品です。

楊洲周延「欧洲管絃楽合奏之図」

楊洲周延「欧洲管絃楽合奏之図」

江戸への懐古 ―追憶の中の美女たち

当時、多くの分野で西洋の文化が広まる一方で、浮世絵では、失われゆく江戸の風俗を懐古するような風潮も見られました。例えば楊洲周延が描いた美人画の揃物「時代かゞみ」では、「慶長之頃」(慶長時代、1596~1615)、「宝永之頃」(宝永時代、1704~11)といった題名で、江戸時代のさまざまな時代の美人の風俗を描き分けています。「宝永之頃」では宝永の大噴火の頃の富士山を画面上に配し、手前に当時の風俗の女性を描きます。他にも芳年の弟子、水野年方が描いた揃物「三十六佳撰」など、明治の人々が浮世絵を通して懐かしんだ、古き良き時代の女性像を紹介いたします。
楊洲周延「時代かゞみ 宝永之頃」

楊洲周延「時代かゞみ 宝永之頃」

水野年方「三十六佳撰 花見 文政頃婦人」

水野年方「三十六佳撰 花見 文政頃婦人」

<見どころの一点>
豊原国周「見立昼夜廿四時之内 午前十時」

豊原国周「見立昼夜廿四時之内 午前十時」

今年の大河ドラマ「八重の桜」の主人公、新島八重の生涯が話題となっています。その中で、会津若松城での籠城や日清・日露戦争での従軍看護婦としてのエピソードとともに、夫・新島襄と日本人同士では初のキリスト教式結婚式を挙げたことがよく知られています。
キリスト教は明治の初頭にはまだ禁止されており、弾圧がありましたが、諸外国の抗議によって明治6年に解禁され、以降広まりました。浮世絵師たちも、当時多く描かれた西洋の新しい文化のひとつとして、キリスト教を題材にしています。豊原国周の描いた「見立昼夜廿四時之内」は、一日のさまざまな時間帯を題材にして、美人を描いた作品。そのうち「午前十時」には、三味線の弦を調整している芸者とともに、コマ絵にはキリスト教の教会が描かれています。

入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程2月1日(金)・10日(日)・15日(金)
時間14:00~(40分程度)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
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