大江戸スター名鑑

勝川春好「江戸三幅対」
企画展
2012年2月1日(水)~2月26日(日)

2月6・13・20日は休館となります。

※2月展示の図録は作成いたしません。

はじめに

テレビや映画で活躍する俳優やタレント、あるいはスポーツ選手などの有名人の話題は、現代の人にとって大きな関心のひとつです。江戸時代の人たちにとってもそれは同じであったようで、人々は舞台で見得を切る歌舞伎役者に喝采をおくり、土俵上でぶつかり合う力士たちに興奮し、あるいは吉原を彩る高位の遊女にあこがれの念を抱きました。そうした江戸のスターたちの姿は、しばしば浮世絵に写し取られています。実際にスターを目の当たりにできない人たちも、浮世絵を通じて、スターたちの存在をより身近に感じたことでしょう。
本展は、江戸の町を賑わした、様々な有名人たちに焦点をあてる展覧会です。市川団十郎、尾上菊五郎といった歌舞伎役者たちはもちろん、谷風などの伝説の力士たち、吉原の美しい花魁、あるいは元禄赤穂事件で知られる大石内蔵助や、ベストセラー小説『偐紫田舎源氏』の主人公、足利光氏のような架空の登場人物まで、様々なタイプの人気者たちをご紹介いたします。

1.江戸の大スター 歌舞伎役者

江戸市中の人々の人気を最も集めたのは、何といっても歌舞伎役者でしょう。市川団十郎や尾上菊五郎、坂東三津五郎など、何代にも渡って名優を輩出した大名跡がひしめき合い、大衆の羨望の的であった歌舞伎役者たち。江戸時代にはそんな彼らを描いた浮世絵が数多く出版されました。ここでは伝説的な名優たちのエピソードとともに、勝川派や歌川派などの絵師が描いた浮世絵を紹介します。
三代歌川豊国「初代河原崎権十郎のおぼう吉三 三代目岩井粂三郎のおぜう吉三 四代目市川小団次の和尚吉三」

名作の初演キャスト
三代歌川豊国「初代河原崎権十郎のおぼう吉三 三代目岩井粂三郎のおぜう吉三 四代目市川小団次の和尚吉三」
「三人吉三廓初買」初演の様子。安政7年(1860)正月の上演以来、今でも上演され続けています。(現行では名題は「三人吉三巴白巴狼」)

三代歌川豊国「踊形容江戸絵栄」

三代歌川豊国「踊形容江戸絵栄」幕末の劇場内部。花道に「暫」の扮装で登場するのは初代河原崎権十郎(のちの九代目市川団十郎)。

豊原国周「歌舞伎座中満久 皿屋舗化粧姿鏡」

ひいおじいちゃんも人気者
豊原国周「歌舞伎座中満久 皿屋舗化粧姿鏡」 お菊の霊を演じるのは、五代目尾上菊五郎。今の七代目尾上菊五郎の曽祖父にあたる明治の名優です。画面下に描かれるのは、そのライバルで劇聖ともうたわれる、九代目市川団十郎。

歌川国貞「当世俳優贔屓競 髪ゆい」

歌川国貞「当世俳優贔屓競 髪ゆい」鏡形のコマ絵の中に描かれるのは五代目瀬川菊之丞。手前に描かれた女性の贔屓の役者という設定。

2.力士や花魁 -市中の人気者たち

人気があったのは歌舞伎役者だけではありません。無類の強さを誇った伝説的な横綱、谷風に代表される力士、庶民には高嶺の花であった吉原の高級遊女、あるいは辻講釈で人気を得た深井志道軒など、さまざまな分野の有名人たちの姿が浮世絵に描かれています。ここでは、その時どきに市中の話題をさらった人気者たちの姿を紹介いたします。

三大スター 夢の競演
勝川春好「江戸三幅対」
横綱の谷風、初代市川鰕蔵、扇屋の遊女・花扇という、天明~寛政期(1781~1801)の3人のスターを描いた作品です。谷風と花扇が飲み比べをし、鰕蔵が行司役をつとめるという粋な趣向。谷風は生涯の勝率9割5分という驚異的な強さを誇りました。

菊川英山「風流吉原八景 寿かゝきの晩鐘」

菊川英山「風流吉原八景 寿かゝきの晩鐘」
吉原の人気遊女、松葉屋の粧(よそおい)

事件や物語の登場人物

江戸の人気者の中には、当時実際に起きた事件に関わった人物もいます。元禄赤穂事件を起こした大石内蔵助と赤穂義士たちは絶大な人気を得て、歌舞伎などの芝居にも取り入れられています。代表作『仮名手本忠臣蔵』は必ず大入りとなることから歌舞伎界の独参湯(どくじんとう、起死回生の妙薬のこと)とも言われ、初演から250年以上を経た現代でも人気の演目です。ここでは他に、『偐紫田舎源氏』の主人公、足利光氏や、『南総里見八犬伝』の八犬士など、大ベストセラーに登場する架空の人気者たちもあわせて紹介します。
歌川芳虎「忠臣雪夜志」

歌川芳虎「忠臣雪夜志」
大石内蔵助と赤穂義士が主君の仇を討った元禄赤穂事件。本図は吉良邸への討入りを描いたもの。

葛飾北斎 「冨嶽三十六景 東都浅草本願寺」

大ヒット小説→芝居→錦絵
豊原国周「里見八犬士之内 犬山道節」
曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」は大ベストセラーとなり、何度も舞台化されました。本図は五代目坂東彦三郎が扮した犬山道節。

<見どころの一点>
東洲斎写楽「初代市川鰕蔵の竹村定之進」

東洲斎写楽「初代市川鰕蔵の竹村定之進」

今も昔も「えび様」は大人気
一度見たら忘れない、印象的な風貌。東洲斎写楽による大首絵の有名な1点です。描かれている役者は、初代市川鰕蔵(えびぞう)。前名を五代目市川団十郎と言い、昨今テレビなどでも話題の、十一代目市川海老蔵のご先祖さまに当たる人物です。市川家の芸を良く伝え、名人として絶大な人気を誇りました。一方で洒脱な性格の持ち主であったと伝えられ、狂歌を楽しみ、大田南畝ら当時一流の文化人とも交流があったとされています。本図は寛政6年(1794)5月に河原崎座で上演された「恋女房染分手綱」で竹村定之進を演じる初代市川鰕蔵を描きます。

入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
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