浮世絵動物園

駝鳥
企画展
2010年8月1日(日)~8月26日(木)

8月2・9・16・23は休館となります。

※展覧会の図録は作成いたしません。

はじめに

葛飾北斎 「狆(ちん)」犬の中でも狆は上層階級の女性たちに人気のペット。

葛飾北斎 「狆(ちん)」犬の中でも狆は上層階級の女性たちに人気のペット。

鶴や亀などのおめでたい動物、あるいは飼い主のそばでまどろむ猫。浮世絵には、こうした現在の私たちにもなじみ深い動物の姿が多く描かれています。本展では、動物を描いた作品に焦点をあて、小さなお子さまも楽しめるよう、わかりやすくご紹介いたします。身近な動物だけでなく、龍や河童や化け狐など実際には存在しない空想上の生きものから、図鑑の挿絵のように精密に描写したもの、さらには擬人化した遊び心あふれるものまで、浮世絵からは、実に多様な動物たちの姿を見ることができるのです。本展を通して、江戸時代の人々と動物たちとの楽しい関係に触れていただければ幸いです。

1.江戸っ子はペットが大好き!

「ペットブーム」という言葉を聞きますが、実は江戸時代の人々も様々な動物をペットとしていました。今と同様、一番人気だったのは犬と猫。ほかにも金魚やネズミやウサギ、イタチまでがペットとして飼われていました。また、鷹狩りに使う鷹や乗馬用の馬の所有は、権力者のステータスシンボルでもありました。浮世絵に登場する犬や猫たちが飼い主のそばでなごむ様子からは、彼らが家族の一員として大事にされていたことが伝わってきます。
月岡雪鼎「髪すき」髪を整える女性。彼女の読む文のはしでじゃれる猫が愛らしい。

月岡雪鼎「髪すき」髪を整える女性。彼女の読む文のはしでじゃれる猫が愛らしい。

三代歌川豊国「江戸名所百人美女・四谷」じゃれつこうとしたのか、猫は子供に押さえつけられてしまった。

三代歌川豊国「江戸名所百人美女・四谷」じゃれつこうとしたのか、猫は子供に押さえつけられてしまった。

三代歌川豊国「二五五四好今様美人(にじゅうしこういまようびじん)金魚好」金魚をすくおうとする若い女性。金魚は当時も夏の風物詩。

三代歌川豊国「二五五四好今様美人(にじゅうしこういまようびじん)金魚好」金魚をすくおうとする若い女性。金魚は当時も夏の風物詩。

2.おめでたい動物・干支の動物

「鶴は千年、亀は万年」と言われる鶴や亀など、おめでたい動物は浮世絵においても大事な題材でした。また年賀状でおなじみの干支の動物たちは、当時は日々の暦や時刻、方位を表す際に用いられた、現代よりも人々の生活に深く結びついた存在でした。そのため干支の動物たちもさまざまに表現されています。 
鼠の相撲 睨みあう鼠の力士。実は子年の暦。

鼠の相撲 睨みあう鼠の力士。実は子年の暦。

歌川芳虎 「家内安全ヲ守十二支之図」十二支の動物がひとつになった、不思議な姿が目をひく。

歌川芳虎 「家内安全ヲ守十二支之図」
十二支の動物がひとつになった、不思議な姿が目をひく。

3.不思議な生き物 -珍獣から河童までー

江戸時代には、象やラクダ、ヒクイドリなど当時としては珍しい動物が海外からもたらされ、見世物としても人気を呼びました。人々に大きなインパクトを与えたこうした動物たちを浮世絵師たちは描きとめています。さらに絵師たちは、龍や鳳凰などの聖獣、化け狐や河童や大蛇など説話や怪談に出てくる空想上の生きものたちを、ときに恐ろしく、ときにユーモラスに描き出しました。
駝鳥

駝鳥 ヒクイドリを描いた長崎土産の版画。
当時は駝鳥と混同されていた。

月岡芳年 和漢百物語 白藤源太 力士の白藤源太が見物しているのは、白熱する河童の相撲。

月岡芳年 和漢百物語 白藤源太
力士の白藤源太が見物しているのは、白熱する河童の相撲。

4.擬人化された動物たち

人間のようにものを考え行動する、擬人化された動物が主人公の映画やアニメは、現代でも大人気です。驚くことにすでに浮世絵のなかには、まるで人間のように振る舞う動物を描くものが数多くあります。今もなお見る者の笑いを誘うこれらの作品は、江戸時代の人々の発想の豊かさ、そして動物に対する親しみを私たちに伝えてくれます。
歌川国芳 蝦蟇(がま)手本(でほん)ひやうきんぐら
「仮名手本忠臣蔵」をもじった作品。蝦蟇蛙たちが大活躍。

歌川国芳 蝦蟇(がま)手本(でほん)ひやうきんぐら
「仮名手本忠臣蔵」をもじった作品。蝦蟇蛙たちが大活躍。

歌川貞秀 蛸踊りユーモアあふれる、文字通りの蛸踊り。

歌川貞秀 蛸踊り
ユーモアあふれる、文字通りの蛸踊り。

<見どころの一点>
歌川広重 東都飛鳥山の図 王子道 狐のよめ入

歌川広重 東都飛鳥山の図 王子道 狐のよめ入
満開の桜の下、しずしずと横切っていく嫁入り行列。豪華な衣装から、高い身分の女性の輿入れかと思うところですが、よく見ると顔はなんと狐です。着物などにあしらわれた家紋は、稲荷神をあらわす火炎宝珠。狐は稲荷神の使い、あるいは家来と考えられていました。おそらく行列は、飛鳥山の北にある王子稲荷を目指しているのでしょう。空模様も奇妙で、晴れにもかかわらず雨が降っています。このような不思議な天気を「狐の嫁入り」と称しますが、江戸時代には実際に狐の嫁入りを見たという噂が流れるなど、狐にまつわる怪異は、人々にとって親しみのあるものだったようです。本図は、動物の擬人化の作例であると同時に、当時の信仰や俗説が色濃く反映された作品なのです。
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
イベント
8月に夏休み子ども講座を開催致します。
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