源氏物語誕生1000年記念 浮世絵の中の源氏絵

歌川広重「江戸むらさき名所源氏 見立浮ふね」
企画展
2008年12月2日(火)~21日(日)

※この展覧会の図録は作成していません。

現代でもさまざまな形で読み継がれる不朽の名作、源氏物語。今年は、源氏物語の存在が記録として確認されてから、ちょうど1000年という節目の年を迎え、日本各地でそれを祝うイベントや記念事業、展覧会などが行われています。もちろん江戸時代の人々にも源氏物語は広く知られていました。そして、庶民向けに作られた浮世絵においても、源氏物語の世界を絵画化した作品、あるいは、源氏物語から発想を得た作品が生み出されました。その中には一見、源氏物語とは関わりがないように見える作品まであります。本展覧会では、浮世絵における「源氏絵」というジャンルを通して、江戸時代の庶民たちがどのように源氏物語の世界に接していたのかを紹介します。

1.浮世絵師たちが描く王朝世界

江戸時代において、狩野派や土佐派など、支配者層と関わりの深い流派の絵師たちは、屏風や掛軸など、さまざまな形で源氏物語の世界を描いていました。それに対し、庶民たちに向けて絵を描く浮世絵師たちも、決して数が多いとは言えませんが、源氏物語の世界をいくつか手がけています。葛飾北斎や歌川広重らが描いた王朝世界の作品をご覧ください。
月岡芳年「月百姿 石山月」

月岡芳年「月百姿 石山月」

葛飾北斎「源氏物語図」

葛飾北斎「源氏物語図」

2.背後に隠された源氏物語

浮世絵では、源氏物語の場面をそのままに描くのではなく、物語の登場人物を江戸時代の庶民の姿に置き換えて表現する、「見立て」、もしくは「やつし」と呼ばれるパロディーのような手法がしばしば用いられました。源氏物語の世界をどのように当時の人々の姿に重ね合わせているか、その発想の豊かさをご覧ください。
鳥文斎栄之「浮世源氏八景 松風夜雨」

鳥文斎栄之「浮世源氏八景 松風夜雨」

歌川広重「江戸むらさき名所源氏 見立浮ふね」

歌川広重「江戸むらさき名所源氏 見立浮ふね」

3.これが源氏物語? 大ベストセラー小説『偐紫田舎源氏』の世界

浮世絵において「源氏絵」と言った場合、厳密には『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』を題材にした作品のことを指します。『偐紫田舎源氏』とは、19世紀前半に刊行された柳亭種彦による物語で、源氏物語のあらすじをベースにしつつ、室町時代のお家騒動に仕立てた源氏物語の翻案小説です。この作品は江戸っ子たちの人気を集めて大ベストセラーとなり、『偐紫田舎源氏』を題材にした浮世絵が数多く出版されました。現代ではすっかり忘れ去られてしまった、江戸時代の庶民たちならではの源氏物語の楽しみ方をご覧ください。
三代歌川豊国「源氏見立八景之内 夕霧落雁」

三代歌川豊国「源氏見立八景之内 夕霧落雁」

三代歌川豊国「奥御殿遊楽之図」

三代歌川豊国「奥御殿遊楽之図」

料金
一般700円
大高生500円
小中生200円
イベント
「浮世絵を聴く」(三味線、笙などによる日本音楽演奏会)を開催いたします
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