浮世絵 -ベルギーロイヤルコレクション展

葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」
企画展
2008年9月2日(火)~9月28日(日)
ベルギー王立美術歴史博物館とベルギー王立図書館は、ともに世界でも屈指の浮世絵コレクションを所蔵することで知られています。ベルギー王立美術歴史博物館の浮世絵は、1905年に収蔵されたエドモン・ミショット(1831~1913)のコレクションを中心とするものです。その後も長年にわたって収集が続けられ、現在ではその数約7500点以上におよびます。また、日本初公開となるベルギー王立図書館のコレクションは、19世紀末から収集された、500点を超す浮世絵からなります。
所蔵の点数から見れば、海外には約5万点を所蔵するアメリカのボストン美術館、約2万5000点を所蔵するイギリスのヴィクトリアアンドアルバート美術館のように、ベルギーを上回る規模のコレクションもいくつか見られます。しかし、ベルギー王立美術歴史博物館及び王立図書館のコレクションが優れている最大の特徴は、群を抜く素晴らしい保存状態にあります。浮世絵は色が劣化しやすく、江戸時代に摺られた当初の色彩を保つ作品は稀です。しかし両館の所蔵作品は、出版当初の、そして浮世絵本来の豊かな色彩をよく保ち、江戸の人々の感動を鮮やかに伝えてくれます。
本展ではコレクションの中から、日本初公開作品を数多く含む、厳選された約150点の作品を展観いたします。写楽、歌麿、春信、北斎、広重、国貞、国芳など、数多くの絵師の作品をバランスよく含み、最高のコンディションを保つ珠玉のコレクションをご堪能ください。
東洲斎写楽 「四代目岩井半四郎の鎌倉稲村が崎のおひな娘おとま実は楠政成女房菊水」

東洲斎写楽
「四代目岩井半四郎の鎌倉稲村が崎のおひな娘おとま
実は楠政成女房菊水」
(ベルギー王立図書館蔵)

東洲斎写楽 「三代目市川高麗蔵の廻国の修行者西方の弥陀次郎実は相模次郎時行」 

東洲斎写楽
「三代目市川高麗蔵の廻国の修行者西方の弥陀次郎
実は相模次郎時行」
(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

1.最高峰の写楽コレクション -世界に1枚しかない作品、新出作品-

東洲斎写楽 「二代目小佐川常世」(ベルギー王立図書館蔵)

東洲斎写楽 「二代目小佐川常世」(ベルギー王立図書館蔵)

わずか1年にも満たない活動期間に数多くの傑作を生み出した絵師、東洲斎写楽。世界一とも言われる、最高の保存状態を誇るベルギー王立図書館所蔵の写楽作品2点が日本初公開されるのをはじめ、前・後期あわせて14点の写楽作品が登場します。中でも注目は、世界中でベルギー王立美術歴史博物館に1点のみが所蔵される三代目市川高麗蔵の廻国の修行者西方の弥陀次郎実は相模次郎時行」と、同じくベルギー王立図書館所蔵の1点のみが確認される「四代目岩井半四郎の鎌倉稲村が崎のおひな娘おとま実は楠正成女房菊水」という2つの作品が、もともと同じ狂言に取材した組み物であり、本展で初めて同時に展示されるということでしょう。他にも世界に1点しか確認されていない作品として、大首絵「二代目嵐龍蔵の奴なみ平 とら屋虎丸」が出展されます。また、「二代目小佐川常世」「三代目坂東三津五郎の桂金吾春久」といった作品は、今回新たに所蔵が確認された新出作品として注目されます。最高の保存状態と合わせ、初公開、世界に1点、新出作品と、多くの話題性と魅力に富んだ最高峰の写楽コレクションをお楽しみください。

2.歌麿の美人画とちょっと意外な妖怪絵

美人画の第一人者として知られる絵師、喜多川歌麿。歌麿の作品はヨーロッパでも大変な人気を呼び、19世紀後半からはじまる日本美術の流行の中で、多くの作品がベルギー王立美術歴史博物館、王立図書館にも収蔵されました。本展では、歌麿の代名詞とも言える美人大首絵の名品として「当時三美人」などを展示いたします。また、歌麿が美人画とはかけはなれた、妖怪絵を手がけていたことはあまり知られていません。「見越入道」など、ユーモラスな妖怪たちを通じて、歌麿のちょっと意外な一面を紹介いたします
喜多川歌麿 「当時三美人」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

喜多川歌麿 「当時三美人」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

喜多川歌麿 「見越入道」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

喜多川歌麿 「見越入道」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

3.江戸の人々が驚いた!春信の色彩 -「座敷八景」「五常」-

浮世絵版画は、絵を描く浮世絵師だけでなく、版木を彫る彫師、絵の具を紙に摺る摺師といったさまざまな職人たちが協力して作り上げています。1ミリよりもさらに細かいものを彫る技術、あるいは淡い綺麗な色を画面全体にむらなく摺り上げる技術など、普段の浮世絵の展覧会では取り上げられることの少ない、職人たちの匠の技について、詳しく紹介いたします。
鈴木春信 「五常 義」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

鈴木春信 「五常 義」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

鈴木春信 「座鋪八景 鏡台の秋月」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

鈴木春信 「座鋪八景 鏡台の秋月」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

4.北斎と広重 -風景画の巨匠たち-

江戸時代後半、庶民の旅への関心の高まりとともに、浮世絵にも風景画のブームが訪れます。その立役者となったのが、90歳まで生き、常に斬新な表現を試みつづけた絵師、葛飾北斎と、穏やかで詩的な風景表現を得意とした絵師、歌川広重です。 本展では、北斎の代表作として知られる「冨嶽三十六景」シリーズから、「凱風快晴」「駿州片倉茶園ノ不二」などの作品を紹介。また、広重の3枚続きの大作「武陽金沢八勝夜景」や、有名な「東海道五拾三次之内」シリーズの中でも特に傑作とされる「庄野 白雨」など、巨匠たちの優れた風景画を多数展観いたします。
歌川広重 「武陽金沢八勝夜景」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

歌川広重「武陽金沢八勝夜景」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

葛飾北斎 「冨嶽三十六景 凱風快晴」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」
(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

5.大人気役者絵師 国貞の出世作 -「大当狂言之内」-

歌川国貞 「大当狂言之内 菅丞相」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

歌川国貞「大当狂言之内 菅丞相」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

江戸庶民の大きな娯楽、歌舞伎。美人とともに、人気役者は浮世絵でもっとも良く描かれるテーマです。中でも歌川国貞は、浮世絵最大の画派、歌川派の中核をなし、江戸時代後半から幕末にかけて役者絵の分野でもっとも人気のあった絵師です。本展では、国貞が30歳を目前にした頃の出世作「大当狂言之内 菅丞相」を展示いたします。一流の人気絵師へと駆け上って行く時期の、野心や勢いを感じとれる大迫力の一枚です。  

6.まるでアニメーション? 国芳のユーモアあふれる戯画 -「金魚づくし」-

擬人化され、生き生きした表情で泳ぎ回る金魚たち。それを舌なめずりしながら眺める恐ろしげな猫。まるで現代のアニメーションを思い起こさせるような楽しい戯画「金魚づくし 百ものがたり」を描いたのは、武者絵や風景画でも有名な絵師、歌川国芳です。本展では、国芳による「金魚づくし」シリーズを多数ご紹介いたします。現代にも十分通じる、国芳の卓越したユーモアのセンスを感じていただければ幸いです。
歌川国芳 「金魚づくし 百ものがたり」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

歌川国芳「金魚づくし 百ものがたり」
(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

歌川国芳 「金魚づくし にはかあめんぼう」(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

歌川国芳「金魚づくし にはかあめんぼう」
(ベルギー王立美術歴史博物館蔵)

料金
一般1000円
大高生700円
小中生400円
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