コレクション4

葛飾北斎 雨中の虎

紙本著色一幅 120.5×41.5㎝ 嘉永2年(1849)

  雨が降りしきる中、大地を踏み締めながら、上空を睨みつけて雄叫びをあげる虎。首は長く、足先も太めで、本物の虎とはかけ離れた体のバランスではあるが、迫力のある一つの生命体として、画面の中に生き生きと存在している。従来、一幅の作品と考えられていたが、2005年、フランス国立ギメ東洋美術館が所蔵する「龍図」と対幅であることが発見され、大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。確かに、虎の視線の先に龍がいることによって、画面の構成は一段と引き締まる。
 この図が制作されたのは、北斎の没年である嘉永二年。絶筆に近い時期の大作である。数え年90歳になっても、北斎の絵師としての魂はいまだ衰えをしらない。

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