青のある暮らし ―着物・器・雑貨
江戸っ子と青
空や海の美しさをイメージさせる「青」という色彩は、江戸時代の人々を魅了し、その暮らしを涼やかに彩りました。とりわけ、現在「ジャパンブルー」と称され親しまれる藍は、江戸時代に木綿の普及と染色技術の向上によって藍染が庶民に広がったことから、浴衣や手ぬぐい、暖簾にさかんに使われていきます。さらに青色の文様をあらわした染付(そめつけ)の食器や植木鉢も広まり、青は日常生活のさまざまなシーンで用いられる色となったのです。浮世絵にも、暮らしのなかに青を取り入れた江戸市民の姿が驚くほど多く描かれています。
また本展は、陶磁器専門の美術館として知られる戸栗美術館と「青のある暮らし」を共同展覧会名とした連携展示です。浮世絵と陶磁器、それぞれの視点から、美しい青に満たされた江戸のライフスタイルに触れてみてください。
青をまとう ―浴衣から刺青まで―
現在のサッカー日本代表のユニホームは、伝統的な藍に由来する深い青で「サムライブルー」と呼ばれ親しまれています。浮世絵にも様々な身分や立場の人々が日常の衣服に青を用いた様子をとらえますが、とりわけ目を引くのは青と白のコントラストが美しい浴衣。女性たちは愛らしい草花文を散らしたものだけでなく、カニやタコなどのモチーフを大胆に配した浴衣も着ており、バラエティ豊かなデザインには目を見張るものがあります。さらには、江戸後期に大流行した刺青姿の男性を描く作品もご紹介いたします。当時人気を集めた独特の男性美にも触れてみてください。
暮らしを彩る青
現代につながる食文化や服飾文化、園芸文化が花開いた江戸時代後期、市民の生活のなかにはさまざまな器や雑貨が溢れ、それらの多くにも青が用いられていました。例えば染付の皿や徳利、茶碗に植木鉢、そして藍染による手ぬぐいや前掛け、懐紙入れなど。ひとつひとつは小さなものであっても、青はさまざまに日常生活を彩り、広く人々に愛された色であったと言えるでしょう。
世界を魅了したジャパンブルー
江戸時代に育まれた青の文化は、明治時代に日本を訪れた欧米の人々には日本独特のものと感じられたようです。そもそも日本人の生活に根付いた藍を「ジャパンブルー」と命名したのは、明治7年に来日したイギリス人化学者ロバート・W・アトキンソンとされます。またギリシャ出身の小説家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)も、明治23年に来日した際に目にした、家々の屋根や衣服、暖簾に青が多用された日本の情景の魅力を書き記しました。
浮世絵ブルー革命
葛飾北斎や歌川広重の空や海の青が美しい風景画が、国内外を問わず多くの人々を魅了しています。その日本の誇る北斎や広重の浮世絵風景画の誕生の背景には、実はベルリンブルー(プルシアンブルー、ベロとも)という新しい青色絵具の登場という出来事がありました。移り変わる空模様や水面を繊細に表現することを可能にしたベルリンブルー。その登場以前と以後の風景画を展示し、浮世絵史で起こった青をめぐる表現の変化についてご紹介いたします。
見どころの作品
歌川広重「名所江戸百景 神田紺屋町」
風にたなびく紺や茶色に染め上げた布の奥に、江戸城と富士山を望みます。神田紺屋町は、関東一円の藍の買い付けを許された紺屋頭の土屋五郎右衛門が治めており、付近に大勢の染物職人が住んでいたことから紺屋町と呼ばれるようになりました。干し場に布が吊るされる様子もこの地の風物だったのでしょう。藍で文字やグラデーション、市松模様などさまざまな柄が染め出された布は、当時の人々が多彩な模様を求め、紺屋がそれにこたえていたことを物語っています。
連携企画展
戸栗美術館 《青のある暮らし―江戸を染める伊万里焼》
江戸の人々の暮らしを彩った「青色」を、陶磁器専門の美術館が伊万里焼を通してご紹介します。
会期:2019年7月2日(火)~9月22日(日)
会場:戸栗美術館(東京都渋谷区松濤1-11-3)
問合せ:03-3465-0070
http://www.toguri-museum.or.jp/
1枚につき1名有効。入場券ご購入時にご提示ください。
イベント
学芸員によるスライドトーク
展覧会の見どころを担当学芸員が解説します。
日時 |
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会場 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
7月の江戸文化講座では、本展にちなみ、青色の染付を中心とした陶磁器をテーマに開催します。
テーマ | 青が結ぶやきものの世界 |
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概要 | 江戸時代、日本のやきもの文化は大輪の花を咲かせました。今回の講座では、中世から江戸時代にかけての日本陶磁の歴史を学び、次いで青色の文様をあらわした染付が日本と世界において展開させた、豊かな美の世界について学びます。 |
開催日時 | 2019年7月13日(土)、 20日(土)、 27日(土) 14時00分~15時30分 |
会場 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
第一講 7/13 |
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第二講 7/20 |
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第三講 7/27 |
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申込方法 | 申込書に必要事項をご記入の上、受講料を添えて、太田記念美術館までご持参ください。 6月8日(土)より受付開始、定員になり次第締め切ります。 ※郵送では申込みできませんので、ご注意ください。 受講料:5000円(パスポート会員は3000円) ※全3回、一括前納。税込。展覧会入場料を含む。 |
定員 | 60名(先着順) |
問合せ | 太田記念美術館 事務局 TEL:03-3403-0880 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-10-10 |
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
- *中学生以上の学生は学生証をご提示下さい。
- *団体(10名以上)は1名さまあたり100円割引。 (一括にてお支払い願います。事前のお申し込みにご協力ください。)
- *障害者手帳提示でご本人とお付き添い1名さま100円割引。
- *会期中、戸栗美術館「青のある暮らし―江戸を染める伊万里焼」展の入場券半券のご提示で¥100円割引。1枚につき1名有効。入場券ご購入時にご提示ください。
- *その他各種割引についてはお問い合わせください。
- *料金は消費税込み。
開館日カレンダー
休館日
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2019年7月
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