2016年度の展覧会
2016年度の展覧会
江戸の絶景~雪月花
後期:2017年3月3日(金)~3月26日(日)
※前後期で展示替え
2月6、13、20、27日~28日/3月1~2、6、13、21日は休館となります。
江戸にもあった絶景ブーム
2014年流行語大賞にノミネートされるほど話題となった「絶景」。今なお国内外の絶景を紹介するサイトやテレビ番組は人気ですが、実は江戸の人々も現代人に負けず劣らず絶景が大好きだったようです。江戸時代後期、各地の名所や歴史を絵入りで紹介する地誌が刊行され、浮世絵にも全国や江戸市中の景勝地、奇観が数え切れないほど登場するようになります。絵師たちは四季に彩られた麗しい景色はもちろん、人里離れた秘境や、断崖絶壁に寺院が建つ幻想的な絶景もとらえています。さらに空想上の視点―遥か上空から見下ろす―なども駆使し人々の想像を超える「見たこともない景色」を次々と描き出していたのです。
本展では歌川広重を中心に葛飾北斎、歌川国芳などが描いた絶景を「雪」「月」「花」「山と水辺」「寺社」のテーマにわけご紹介いたします。美術館での絶景めぐりをお楽しみください。
江戸っ子も「一度は行きたい!」諸国の絶景
インターネットや書籍で見る海外の絶景に感動し、思いを馳せる人も多いのではないでしょうか。江戸時代、人々の心を踊らせたのは浮世絵に描かれた桜咲く京都や雪に包まれた木曽路、青い海に囲まれた江の島など、今も人気の名勝地。新幹線も飛行機もない当時、国内とは言え遠方の名所は行くのが難しい憧れの地でした。今も昔も日本人が愛してやまない、季節感あふれる全国の絶景が集まります。
大江戸絶景さんぽ
雪の舞う隅田川、月光に照らされる江戸湾、桜咲く寛永寺―。四季折々の名所に遊び、町のいたるところから名峰富士を望む。ビルが建ち並ぶ今の東京で過ごす私達には想像できないほど、江戸市中では風雅な景観を楽しむことができました。江戸の人々が愛でた身近な絶景スポットをご紹介いたします。
<見どころの一点>
「葛飾北斎「諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし」(後期展示)」
飛越とは岐阜県北部(飛騨)と富山県越中との国境あたりのこと。切り立つ山々を結ぶのは手すりのない吊り橋。木々や鳥、霞さえも足もとにして樵の夫婦と思われる男女が荷物を持ち平然と渡っています。その姿はあたかも空中を歩いているかのよう。女性の後ろからピンと張った橋の形状は、自然が織りなす幻想的な絶景のなかに強い緊張感を与えています。
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 |
2017年2月8日(水)・12日(日)・19日(日)/ ※3月20日は14:00の回に追加して15:00からも開催いたします。 ※当初予定しておりました3月4日のスライドトークは都合により中止させて頂きます。 |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
若手研究者講演会
講師 |
大和あすか (静岡市東海道広重美術館学芸員) 演題「錦絵の色」 |
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日程 | 2月18日(土) |
時間 | 14:00~15:30 |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
-
2017年2月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 -
2017年3月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
お笑い江戸名所 ~歌川広景の全貌
笑う! ふざける!! ズッコケる!!! ~おバカな江戸っ子、大集合
歌川広景(うたがわ・ひろかげ)の代表作「江戸名所道戯尽」は、幕末の江戸の名所を舞台に、騒いだり転んだりする人々をユーモラスに描いた作品です。本展は、全50点からなるこのシリーズを一挙に公開する貴重な機会となっています。他の浮世絵では味わうことのできない、笑いと馬鹿馬鹿しさに溢れた江戸っ子たちの姿をお楽しみください。
謎の絵師・歌川広景の全貌を紹介する初めての展覧会
歌川広景については、歌川広重の弟子という程度のことしか明らかになっておらず、その正体はほとんど謎に包まれています。本展では、代表作である「江戸名所道戯尽」全50点を一挙に紹介するほか、「青物魚軍勢大合戦之図」や「東都冨士三十六景」といった他の作品も合わせ、謎の絵師・歌川広景の全貌に迫ります。
パクリ? リスペクト? 北斎・広重との奇妙なつながり
「江戸名所道戯尽」は、葛飾北斎や歌川広重の作品を明らかに参考にしている箇所が数多く見られます。本展では、北斎や広重の作品も合わせて展示することで、広景のアイデアの源泉、さらには、北斎や広重が次世代に与えた影響力について掘り下げます。
<見どころの一点>
「歌川広景「江戸名所道戯尽 十六 王子狐火」(太田記念美術館蔵)」
大名行列ごっこを楽しんでいるキツネたち。挟み箱の代わりにカボチャを担ぎ、毛槍の代わりにトウモロコシをくくり付けた竹を掲げています。大きなザルに座って御満悦な男は、狐に化かされて、すっかりお殿様になった気持ちでいるのでしょう。場所は王子稲荷社付近。大晦日の夜になると狐たちが王子稲荷社に集まり、近隣の農民たちは、この時に狐が発する狐火の数によって翌年の農作物の豊凶を占ったと伝えられています。
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 2017年1月7日(土)・18日(水)・27日(金) ※27日は14:00~と15:00~の2回行います。 |
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時間 | 14:00~(40分程度)(27日のみ15:00~も開催) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
若手研究者講演会
講師 | 塚本 園子 (実践女子大学大学院) 「北斎の弟子、昇亭北寿 ―その画業と風景版画について」 |
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日程 | 1月21日(土) |
時間 | 14:00~15:30 |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
- 2017年1月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
生誕150年記念 水野年方~芳年の後継者
11月7・14・21・28日/12月5日は休館となります。
明治の浮世絵師・水野年方の全貌を探るはじめての展覧会
水野年方(1866~1908)は、明治時代に活躍した、浮世絵師であり日本画家であった人物です。月岡芳年の門人として美人画や歴史画などの浮世絵を描く一方、岡倉天心や横山大観、菱田春草らとともに新しい日本画の創作を試みました。さらに、大正・昭和に活躍した日本画家・鏑木清方の師匠でもありますが、数え43歳という若さで亡くなったためか、年方の存在が顧みられることは現在ほとんどありません。
今年2016年は水野年方が慶応2年(1866)に生まれて 150年という節目の年にあたります。本展はそれを記念し、版画を中心とした年方の画業を紹介いたします。浮世絵師としての年方の全貌を探る、はじめての展覧会となります。
月岡芳年の後継者・水野年方
水野年方は10代後半の頃、月岡芳年に入門し、武者絵や歴史画、美人画といった浮世絵を学びました。若い頃から頭角を現し、芳年が亡くなった後は、多くの兄弟子たちがいる中、二代芳年を襲名するという話が持ち上がるほどの実力と人気を兼ね備えていました。
泉鏡花、幸田露伴~近代小説家たちとのコラボ
水野年方は、文芸雑誌や小説の単行本の口絵を数多く描きました。年方が口絵を描いた小説家たちは、尾崎紅葉や泉鏡花、幸田露伴などといった、近代文学を代表する名だたる人物たちが含まれていますが、当時は小説よりも色鮮やかな口絵の方が広く人気がありました。年方は近代文学の発展に大きな役割を担ったのです。
華やかな明治美人たち
水野年方は、明治という新しい時代の空気をまとった、華やかながらも気品に溢れた美人画を得意としました。それは、大正・昭和の美人画の世界を牽引した、門人である鏑木清方に受け継がれていくことになります。
<見どころの一点>
「水野年方「泉鏡花『外科室』口絵(『文芸倶楽部』第1巻6編)」明治28年(1895) 太田記念美術館蔵」
『外科室』は、泉鏡花が小説家としてデビューしたばかりの時期の代表作です。この小説は『文芸倶楽部』という文芸雑誌に掲載されましたが、その口絵を描いたのが水野年方でした。口絵は木版画であるため、制作に時間がかかります。そのため年方は小説の内容を十分に理解する前に、口絵を完成する必要がありました。『外科室』の物語は病院の外科室を舞台としているのですが、この絵は自宅で療養する女性の姿となっており、小説と密接に結びついたものになっていません。しかしながら、読者たちは、口絵と小説の整合性を気にすることなく、緻密に描かれた年方の口絵の美しさに心を奪われていたのです。
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 11月5日(土)・12日(土)・15日(火)・25日(金)・30日(水) /12月10日(土) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
2016年11月SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - 2016年12月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃
後期:10月1日(土)~10月30日(日)
前後期で展示替え
9月5・12・20・26・28~30日/10月3・11・17・24日は休館となります。
これぞ国芳!―血湧き肉躍る水滸伝の世界
近年、歌川国芳(1797~1861)は展覧会でも多く取り上げられ、現代人に最も人気のある浮世絵師の1人となっています。その魅力については「奇想」や「ユーモア」といった言葉で語られることが多いのですが、実は国芳の最初のヒット作は「ワイルド」で「カッコイイ」武者絵でした。その作品こそが《通俗水滸伝豪傑百八人之(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんの)一個(ひとり)(一人)》(以下《通俗水滸伝》)シリーズ。当時の日本においても知られていた中国の小説「水滸伝」を題材に、国芳が力強くもエキゾチックな異国のヒーローたちを躍動感あふれる姿で活写したものです。国芳渾身の武者絵はたちまち評判を得、その人気ぶりは彫り物(刺青)ブームを起こすほどでした。国芳はこの成功を足がかりに「武者絵の国芳」と呼ばれるほどの地位を築いていくことになったのです。
本展では国芳の出世作にして武者絵の傑作《通俗水滸伝》シリーズのほぼ全点に加え、国芳が手がけた「水滸伝」に関連する多彩な作品を展示いたします。国芳入魂のヒーローたちの勇姿をお楽しみください。
国芳の原点に迫る
敵を倒す勇猛な武将、軍師の知的な佇まい、華麗な衣装をまとった女傑の活躍―。国芳の原点とも言える《通俗水滸伝》には魅力的で個性豊かなキャラクターが次々と登場します。多彩な豪傑たちの不屈の闘志や友情、波乱の運命に江戸っ子たちは熱狂したのでした。およそ190年前に誕生した作品ですが、本作の高いエンターテインメント性は現代の漫画や映画、ゲームに通じるものがあります。本展では74図が確認される本シリーズのうち73図を一挙に展示し、その世界観をあますところなくご紹介いたします。
多彩な水滸伝が勢揃い
<見どころの一点>
「通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 浪裡白跳(ろうりはくちょう)張(ちょう)順(じゅん)」
(個人蔵 / 後期展示)
本シリーズを代表する作品。刀を咥えた男が睨みをきかしています。ぐにゃぐにゃと曲げられた柵は水門です。男は浪裡白跳張順。水練の達人で梁山泊では水軍の頭領を務めていました。本作は物語の終盤、杭州城を攻撃する際に水門を破る張順を題材としています。憤怒の形相、筋骨隆々とした肉体、そして白い肌に浮かび上がった青い彫り物からは、その荒ぶる強さが伝わってきます。張順は水門を破った後に敵兵の集中攻撃を受けて戦死。仲間たちの元へ帰ることはできませんでした。壮絶な最期が迫った豪傑を、国芳は力みなぎる雄々しい姿でとらえました。
入館料
一般 | 1000円 |
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大高生 | 700円 |
中学生以下 | 無料 |
※会期中2回目以降鑑賞の方は半券提示で200円割引
※展覧会図録「国芳ヒーローズ~水滸伝豪傑勢揃」を2.500円(税込)にて販売します。
開館日カレンダー
休館日
2016年9月SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - 2016年10月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
怖い浮世絵
美術館でキモだめし。
「怖い」「恐ろしい」-すなわち恐怖は人間の普遍的な感情のひとつです。未知なるもの、危険なもの、不気味なものなどに対して、人間は恐怖を抱き、忌み嫌い、避けようとします。しかし「怖いもの見たさ」という言葉が表すように、それらは多くの場合、同時に強烈な好奇心を呼び起こすものでもあるのです。小説やドラマ、映画などで、ホラーやサスペンスといったジャンルが根強い人気を博すのも、この怖いもの見たさに起因するのでしょう。
江戸の人々も、怖いもの、恐ろしいものへの好奇心は旺盛だったようで、歌舞伎や小説などで怪談物が流行したのをはじめ、浮世絵にも怪異や妖怪が盛んに描かれています。本展は、江戸の人々が抱いた恐怖のイメージを浮世絵から探る展覧会です。累(かさね)、お岩、崇徳院といった生前の恨みをはらす幽霊たち、鬼、海坊主、土蜘蛛などの異形の化け物、凄惨な血みどろ絵まで、「怖い」浮世絵が一堂に集まります。
Ⅰ 幽霊
幽霊とは、現世に恨みや思いを残し、死後さまよっている霊魂のこと。江戸時代後期には、幽霊が歌舞伎に登場する話が流行し、それに伴って浮世絵にも幽霊が多く描かれています。累(かさね)やお岩、お菊、浅倉当吾、崇徳院など、凄まじい怨念をもって現世に現れる恐ろしい幽霊の姿を紹介いたします。
Ⅱ 化け物
Ⅲ 血みどろ絵
<見どころの一点>
歌川国芳「四代目市川小団次の於岩ぼうこん」(太田記念美術館蔵)
虫籠と団扇を手にして踊る美しい娘、お岩が描かれています。背景で暗闇に舞うのは蛍。よく見るとお岩の背後には、同じポーズで踊る、朽ち果てた姿のお岩が重なって見えています。髪は抜け落ち、骨も露わになった亡魂の描写が恐ろしい一図です。有名な『東海道四谷怪談』の系統の舞台を描いたもので、嘉永元年(一八四八)九月市村座で上演された歌舞伎『当三升四谷聞書(まねてみますよつやのききがき)』に取材しています。当図は物語の終盤、夢の場を描いたもの。数々の悪事を犯した主人公、伊右衛門の夢に美しい娘の姿でお岩が現れますが、やがて亡霊としての正体を現すという、幻想的かつ恐ろしい場面です。幕末の名優、四代目市川小団次がお岩を演じました。なお本図は二枚続のうち一図で、左に八代目市川団十郎の神谷仁右衛門と初代中村翫太郎の秋山長兵衛の図が続きます。
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 8月4日(木)・12日(金)・23日(火) |
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時間 | 11:00~ / 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
2016年8月SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
北斎漫画~森羅万象のスケッチ
7月4・11・19・25日は休館となります。
※展覧会の図録は作成いたしません。
葛飾北斎のライフワークを紹介
『北斎漫画』は「冨嶽三十六景」とともに葛飾北斎(1760~1849)の名を世界中に広めることとなった絵本です。文化11年(1814)、北斎が55歳の時に初編を手掛けて以降、その人気は北斎が亡くなっても衰えることなく、明治11年(1878)になってようやく15編で完結しました。『北斎漫画』はまさしく北斎のライフワークであったと言えるでしょう。本展では、この世の森羅万象を描き尽くそうとした『北斎漫画』の魅力をご紹介します。
北斎の多彩な才能を7つのキーワードで紹介
『北斎漫画』に描かれたさまざまな題材を、躍動、滑稽、生活、自然、動物、妖怪、建築という7つのキーワードで紹介します。躍動感溢れる動きや思わず笑ってしまうふざけた人物といった北斎らしさが満載の作品はもちろん、まるで科学者のような視線で丹念に観察した自然や建築の作品など、普段はあまり紹介されることのない北斎の多彩な才能にも注目します。
北斎の絵本を幅広く紹介
<見どころの一点>
葛飾北斎『北斎漫画』十編
北斎は累(かさね)とお菊という江戸時代で有名な女性の幽霊を描いています。左は累。醜い容姿から夫に殺害され怨霊となりました。右はお菊。皿を割った罪で井戸に身を投げた後に怨霊となり、夜な夜な井戸で皿を数えました。いずれも霊を鎮めた高僧と共に描かれています。
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 7月5日(火)・9日(土)・22日(金) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
- 2016年7月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
歌川広重 ~東海道五十三次と冨士三十六景
後期:6月1日(水)~6月26日(日)
5月2・9・16・23・27~31日、6月6・13・20日は休館となります。
※展覧会の図録は作成いたしません。
出世作「東海道五拾三次之内」と最晩年の作「冨士三十六景」
広重が描く二つの大作を一挙公開。
歌川広重(寛政9年~安政5年、1797~1858)は、風景画の第一人者として幕末に人気を誇った浮世絵師です。1830年代、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」の人気を受けて風景画ブームが訪れようとしていた頃、当時新進気鋭の広重が世に送り出したのが保永堂版「東海道五拾三次之内」シリーズ。本作は大ヒットし、広重は一躍人気絵師となりました。以降、広重は風景画の第一人者として、生涯に渡って数多くの作品を描き続けることになります。その最晩年の大作が富士山を題材とした、三十六枚からなるシリーズ「冨士三十六景」。ライバルであった北斎の「冨嶽三十六景」を意識したとも言える作品です。本展では、広重の画業を彩る二つの大作を一挙公開するとともに、「行書東海道」「隷書東海道」といった東海道ものや「名所江戸百景」など、広重の他の名作もあわせてご紹介いたします。
広重の出世作、保永堂版「東海道五拾三次之内」
広重の代表作である保永堂版「東海道五拾三次之内」は、天保4年(1833)頃から制作されたと考えられています。当時、北斎の「冨嶽三十六景」の人気を受けて、浮世絵の風景画が流行しつつありました。広重は新進の絵師でしたが、天保初め頃の揃物「東都名所」に続き、満を持して出版されたのが保永堂版「東海道五拾三次之内」です。本作は大好評となり、長きに渡り人気を得たと考えられています。本展では、本作を全点紹介するとともに、変わり図なども合わせて展示いたします。
「名所江戸百景」など、広重の画業を彩る名作も紹介
<見どころの一点>
①保永堂版「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」(前期展示)
①は東海道をはじめ、五街道の起点となる日本橋を描いた図。「朝之景」とあるように、早朝、参勤交代の行列が橋を渡る光景が描かれています。画面右の木戸の陰には犬が二匹見えますが、その奥には罪人の晒し場がありました。画面左では、魚売りたちが道を空けようとしています。その左に見えるのは、幕府のお触れを掲示する高札場です。
②保永堂版「東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出」(サントリー美術館蔵)(前期展示)
さて、②を見て下さい。①と良く似た絵ですが、題名は「東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出」と少し異なります。いわゆる「変わり図」と呼ばれる異版で、「朝之景」と同様に、画面奥には橋を渡る大名行列が描かれていますが、手前に描かれる人物たちは、「朝之景」に比べるとかなり増えて賑やかです。花売りや小僧、住吉踊りの集団などが描かれ、画面中央には、「朝之景」で右側の木戸のあたりにいた茶色い犬の姿も見えます。
保永堂版「東海道五拾三次之内」は、長年に渡り売れ続けたものと考えられ、色を少し替えたり、版が付け加えられるなど、細部に変更が加えられた異版が多く見られます。その中でも本図は、図様も大きく変更が加えられた興味深い例といえるでしょう。
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 時間 |
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場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
【広重を巡る入館料相互割引プラン】 ~2016年春は広重づくし!サントリー美術館と連携
本展チケットをサントリー美術館の下記展覧会でご提示いただくと、100円割引でご覧いただけます。また、下記展覧会のチケットを当館でご提示いただくと、本展、「歌川広重 ~東海道五十三次と冨士三十六景」を100円割引でご覧いただけます。
(1枚につき1名様、1回限り有効)※他の割引との併用はできません。
本展の開催と時を同じくして、4月29日からサントリー美術館では、「原安三郎コレクション 広重ビビッド」と題した展覧会が始まります。広重晩年の代表作である「名所江戸百景」と「六十余州名所図会」という二つの揃物を中心に広重の名品が展観されます。つまり両館の展示を見ることで、保永堂版「東海道五拾三次之内」、「六十余州名所図会」、「名所江戸百景」、「冨士三十六景」という4つの大作を一気に見られることになります。入館相互割引も用意し、明治神宮前(太田記念美術館)と乃木坂(サントリー美術館)という千代田線沿線の2館で、「広重づくし」が楽しめます。
サントリー美術館「原安三郎コレクション 広重ビビット」2016年4月29日(金・祝)~6月12日(日)
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
- 2016年5月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - 2016年6月
SUN MON TUE WED THU FRI SAT 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
歌川国貞~和の暮らし、和の着こなし。
4月4・11・18日は休館となります。
※展覧会の図録は作成いたしません。
江戸っ子の暮らしを描いた第一人者・歌川国貞
歌川国貞(1786~1864)は、当時の浮世絵界のリーダー的存在であり、その人気は北斎や広重、国芳さえも大きく上回っていました。国貞は、歌舞伎役者を描いた役者絵で一番の制作数を誇っていますが、それだけでなく、江戸っ子たちの暮らしを描いた作品も最も多く残しています。国貞は、江戸の暮らしを生き生きとしたヴィジュアルで今に伝えてくれる、貴重な浮世絵師なのです。
和のライフスタイルやファッションを楽しむ
国貞の浮世絵には、四季の移り変わりを楽しむ人々、あるいは、料理を味わったり、楽器を奏でたり、猫を可愛がったりする人々など、さまざまなライフスタイルを送る人々が登場します。また、お洒落なファッションや流行のメイクにこだわりを見せる女性たちの姿も見逃せません。国貞の作品を通して、和の暮らしや着こなしが鮮やかに浮かび上がってきます。
<見どころの一点>
「江戸名所百人美女 よし町」
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 4月3日(日)・12日(火)・22日(金) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
特別講演会「江戸の着こなしウソ・ホント」
江戸時代のファッションについて、私たちは時代劇や漫画から漠然としたイメージを抱いているかもしれませんが、はたしてそれは本当に正しい姿なのでしょうか。江戸を舞台にした漫画を描くねこしみず美濃氏に、江戸のファッションの実態や知っておくべき鑑賞のポイントについて解説していただきます。
講師 | ねこしみず美濃(江戸漫画家) |
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日程 | 4月16日(土) |
時間 | 14:00~ |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
定員 | 50名(先着順)※13:00より1階受付にて整理券を配布します。 |
ねこしみず美濃
江戸漫画家。少年画報社より『江戸日々猫々』全4巻、『猫暦』1〜2巻を刊行。雑誌『お江戸ねこぱんち』にて江戸天文漫画『猫暦』を連載中。
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
- 2016年4月
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