コレクション11

喜多川歌麿 冨本豊ひな

大判錦絵 37.5×25.0㎝ 寛政5年(1793)頃

 富本豊雛は富本節の吉原芸者で、高島おひさや難波屋おきたと並び、当時は誰もが知っている評判の美女であった。大奉書を二つ折にした摺物に描かれた花を、いとおしそうな眼差しで眺めている豊雛の姿を、上半身アップというこの時期の歌麿が積極的に取り組んでいた新しい構図で捉えている。さらに、背景には一切何も描かず、雲母という鉱物の粉末を一面に施す「雲母摺(きらずり)」の技法によって、豊雛の周りをキラキラと輝かせ、華やかさを演出している。

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