2013年度の展覧会
『笑う浮世絵 -戯画と国芳一門』
後期:2013年11月1日(金)~11月26日(火)
※前後期で展示替え
10月7・15・21・28~31日/11月5・11・18・25日は休館となります。
笑う浮世絵-戯画と国芳一門展作品リスト [245KB]
マンガのルーツ?いま見ても斬新な国芳一門による「江戸の笑い」
江戸の人々はお笑いが大好き。歌舞伎はもとより、落語などの演芸、文学などさまざまな分野で、粋で洒脱な笑いが発達しました。浮世絵の分野でも、特に江戸後期には、歌川国芳を中心に溢れ出るアイデアと高度なユーモアに満ちた魅力的な作品が描かれています。猫やほおずきが擬人化されて人間のように生き生きと動き回ったり、人間の欲望をユーモラスに風刺したり。また画面の絵をヒントに隠された意味を紐解く「判じ絵」など、斬新な発想には思わずにやりとしてしまいます。機知に富んだ知的な笑いもあれば、時には苦笑を誘うような「脱力系」の笑いもある、多種多様な「江戸の笑い」。江戸時代に花開いた豊かな笑いの文化は、マンガやお笑い番組など、現代の日本人にとっての「笑い」の源流とも言えるでしょう。本展では、奥深い江戸の笑いの世界を、浮世絵を通してご紹介いたします。ぜひ肩の力を抜いて、お楽しみください。笑い1「なんでも擬人化!」
国芳を中心とした浮世絵師たちは、猫、狸、鳥、亀あるいは玩具など、あらゆるものを生き生きと「擬人化」した作品を描きました。ディズニー映画も顔負けの、斬新な表現をお楽しみください。笑い2「形・組み合わせの妙」
たくさんの人が集まって大きな人を形作る、障子に映るシルエットで遊ぶなど、ものの「形」をキーワードに、縦横無尽の発想力で描かれた作品を紹介します。笑い3「ユーモラスな人々」
浮世絵師たちは江戸時代の人々をしばしば皮肉に満ちた視点で面白おかしく描いています。時に社会諷刺も込められた、ユーモラスな人間像を描いた作品を紹介します。笑い4「文字と言葉の戯れ」
絵の中に文字が隠されていたり、描かれた絵をヒントに隠された言葉を探したり…。文字と言葉によるさまざまな遊びが込められた作品を紹介します。笑い5「浮世絵で遊ぶ」
江戸時代に流行した「拳遊び」のルールを面白おかしく描いた作品や、変装グッズの元祖とも言える「目鬘(めかつら)」など、遊んで楽しめる「参加型」の浮世絵を紹介します。もちろん出ます、国芳の猫!
国芳の戯画と言えば、猫。本展にもさまざまな猫が登場します。擬人化、文字化、合体巨大化。国芳と一門の弟子たちがユーモラスに描いた猫たちの中から、お気に入りの一匹を見つけてください。入館料
リピーター割引あり(会期中2回目以降ご鑑賞の方は半券のご提示にて100円割引)
一般 | 1000円 |
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大高生 | 700円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
『幕末の見立絵 -三代豊国・広重・国芳』
謎解きで楽しむ浮世絵
浮世絵によく見られる「美人画」や、「役者絵」、そして「風景画」。何気なく目にしているこれらのモチーフにも、実はちょっとした「謎掛け」が仕掛けられ、背後に別の意味や関係性が隠されていることが少なくありません。江戸の浮世絵師や版元たちが絵に込めたこれらの「謎掛け」は、和歌や俳諧などの文学、日本の歴史、歌舞伎、地方の地理や風俗などを踏まえたもので、幅広い教養があって初めて、作品の本当の意味を知ることができるのです。中でも三代歌川豊国や歌川国芳、歌川広重らによって幕末に多く描かれ、大流行したのが「見立絵」と呼ばれる手法。見立絵とは、連想ゲームのように、画中の題材から別のイメージを連想して楽しむ、知的な趣向の絵のことを言います。見立絵に隠された意味や関係性を読み解くことによって、私たちは江戸の人たちが楽しんだ、豊かな教養を垣間見ることができるのです。見立絵を通じて、「一歩深い」浮世絵の見方を学んでみませんか?絵に隠された関係性-1「文学」と「物語」
芭蕉の句と「助六」が結びつくのはなぜか?
上段は芭蕉の句「花の雲 鐘は上野か浅草か」。下段には、歌舞伎「助六」の一場面を描きます。花川戸の助六(花川戸は浅草の地名)と、句に見える「浅草」を結びつけたものでしょう。百人一首と歌舞伎の名場面との共通性は?
上段に見えるのは前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)の「もろともに あハれとおもへ 山さくら 花よりほかにしる人もなし」という和歌。下段には芝居の「妹背山女庭訓(いもせやまおんなていきん)」の「山の段」での久我之助を描きます。劇中に登場する桜の枝や、久我之助の雛鳥への恋心を、歌と結びつけたものでしょうか。絵に隠された関係性-2「地名」と「物語」
「平景清」と所縁のある神社は?
東海道の宿場、宮宿を背景に描き、歌舞伎の登場人物でもある平景清を手前に描きます。景清は宮宿にある熱田神宮に所縁があることから、両者が結び付けられているのでしょう。宿場町と同じ名前の名船頭は誰?
東海道の宿場である桑名宿を題名とし、大坂の名船頭であった桑名屋徳蔵が海坊主に遭遇し、問答してこれを退けるという伝承を描いています。言うまでもなく、両者を結びつけるのは「桑名」です。富士山の麓で作られる名物とは?
富士山にほど近い東海道の宿場、原宿を背景に描き、手前にはこの辺りの名物である富士の白酒にちなんで江戸の白酒売の姿を描いています。甲州を舞台に繰り広げられる歌舞伎の名作とは?
甲州屋(甲州は甲斐国のこと)という料亭の名前から、信玄・謙信を題材とした歌舞伎「本朝廿四孝」を連想し、登場人物である武田勝頼を人気役者八代目市川団十郎の似顔で描いています。<見どころの一点>
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 12月4日(水)・14日(土)・18日(水) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
開館日カレンダー
『富士山の浮世絵 -太田記念美術館収蔵品展』
初詣といっしょに初富士を
<見どころの一点>
歌川広重 「冨士三十六景 駿河薩タ之海上」
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 1月10日(金)・18日(土)・21日(火) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
開館日カレンダー
『葛飾応為「吉原格子先之図」 -光と影の美』
2月3・10・17・24日は休館となります。
※本展覧会の図録は作成いたしません。
葛飾応為「吉原格子先之図」-光と影の美展作品リスト [67KB]
父は北斎 知られざる異才の女絵師
葛飾応為という浮世絵師の名を知っている人はどれほどいるでしょうか。応為は天才絵師・北斎の娘であり、自らも絵師として活躍した女性。代表作「吉原格子先之図」は、交錯する光と影で吉原の夜の情景を表現したものです。暗闇のなかに浮かびあがる遊女と遊客たちの姿は、どこか幻想的ですらあります。応為は、美人画においては北斎を超える力量であったと評価されることもあったようで、北斎晩年の作品制作を補佐していたと伝えられています。しかし残念なことに応為の手による作品は世界に数点しか確認されていません。また一度嫁いだものの、気の強さが災いし離縁。その後は北斎の元で過ごしたようですが生没年はいまだにわかっていません。本図のように異彩を放つ作品を世に送り出した応為。しかし作品数の少なさや謎に満ちた生涯も原因し、その名はいまだ一部の美術ファンに知られるにとどまっています。本展では、応為の貴重な代表作「吉原格子先之図」を中心に、様々な絵師が光と影をたくみに表現した浮世絵作品をご紹介します。※ 応為の作品は「吉原格子先之図」 『女重宝記』のみの展示です。
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
※ 2月分のスライドトークは全日程終了いたしました。開館日カレンダー
『追憶の広重 -浮世絵歴史散歩』
様変わりする東京に、150年前の「江戸」を見つけよう
7年後にオリンピックをひかえ、急激に様変わりしつつある東京。新名所・東京スカイツリーや、アニメ文化の発信地・秋葉原など、刻々と姿を変えていく東京の町並みには、意外にも東京がまだ「江戸」であった時代の痕跡が数多く残っています。風景画の巨匠・歌川広重が晩年の傑作「名所江戸百景」シリーズを描いたのが、今から約150年前のこと。約120図に及ぶシリーズには、1850年代の江戸のさまざまな場所が生き生きと写し取られています。広重が描いた絵と同じ場所に、2014年の今、立ってみたら―。それが本展覧会のテーマです。全く失われてしまった名所、形を変えて生き残っている名所、150年前と全く変わらない景色など、「江戸から東京」への、さまざまな場所の時間の流れを辿ってみませんか?再開発が進む御茶ノ水・秋葉原界隈
江戸から変わらぬ眺めとは?
近年、複合型商業施設が次々にオープンし、急激な様変わりを見せる御茶ノ水。アニメ文化の聖地であり、メイド服姿の女性たちが道行く人に声をかける秋葉原。新しい東京の姿を象徴する街の一つであるこの付近を、江戸の浮世絵師・歌川広重は絵に写しとっています。「名所江戸百景昌平橋聖堂 神田川」は、昌平橋から御茶ノ水方面を眺めた図。昌平坂や湯島聖堂の見える風景は、現代でも予想以上に当時の雰囲気を残しています。様変わりする新しい街のすぐそばに、意外な江戸の痕跡をたどることができるのです。三井財閥の中心地・三越前付近
江戸時代には富士見の名所だった?
通りをはさんで両側に立ち並ぶのは、暖簾に染め出された「井」の字に「三」の紋から、当時全盛を誇った三井越後屋の建物であることが分かります。越後屋が位置していた駿河町は、富士山が見えることからその名がついたとも言われ、当時、富士見の名所として知られました。本図にも、雲の向こうに大きく富士が描かれています。実はこの絵に見える通りは、現在で言うと日本橋三越本店と三井本館の間の道に当たり、本図はこの通りを西に向かって描いたものです。描かれた建物は大きく様変わりしていますが、両側が三井関連の建物であることに変わりはなく、江戸から続く歴史を感じることができるでしょう。オープンして一年を経た新名所・東京スカイツリー
もしスカイツリーから江戸の景色を眺めてみたら?
2012年5月にオープンして一年半を経た東京スカイツリー。今では東京タワーに代わる新名所としてすっかり定着しました。スカイツリーのお膝元・浅草も多くの観光客でにぎわいを見せています。もし、江戸時代にスカイツリーがあったら?―そんな空想に答えるような絵を、広重は描いています。「東都名所 浅草金龍山年之市群集」はスカイツリーとは言わないまでも、かなり高いところから見下ろす「俯瞰(ふかん)」の視点で浅草寺の歳の市の様子を捉えた作品。広重の想像力が、そんな楽しい空想を可能にしてくれるのです。同時にこの絵からは、江戸時代も今も変わらない、歳の市の賑いをうかがい知ることが出来ます。
失われた江戸の名所
三十三間堂は江戸にもあった?
画面を斜めに横切る細長い建築物が描かれています。どこかで見覚えのある建物の名称は「三十三間堂」。と言ってもお馴染みの京都の三十三間堂ではなく、かつて江戸・深川にあった三十三間堂なのです。三十三間堂の端から端まで矢を射通す「通し矢」という競技が京都で流行し、その流れで江戸の浅草に同様の寺院が建てられました。元禄11年(1698)に焼失しましたが、その後深川の富岡八幡宮付近に再建され、通し矢も行われたということです。残念ながら明治5年(1872)には取り壊され、現在では絵の中でのみその姿を偲ぶことができる、失われた名所となりました。
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 3月5日(水)・15日(土)・19日(水) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
開館日カレンダー
『歌川広重「月に雁」 -花鳥風月の美』
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 9月1日(日)・6日(金)・10日(火) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
開館日カレンダー
『江戸の美男子 -若衆・二枚目・伊達男』 春信・歌麿・北斎・国芳が描く男性たち
後期:2013年8月1日(木)~8月25日(日)
※前後期で展示替え
7月8・16・22・29~31日/8月5・12・19日は休館となります。
江戸の美男子-若衆・二枚目・伊達男展作品リスト[226KB]
はじめに
人気絵師、美男子を描く―春信、清長、歌麿、北斎、国芳、国貞
多くの一流絵師たちが、個性をいかした男性像を世に送り出しました。春信は華奢で中性的な若衆を得意とし、歌麿は遊女や町娘の恋の相手として色気のある若衆や青年を描きました。幕末に活躍した国芳や国貞は、侠客などの勇ましい姿も多く手がけるようになります。時代を牽引した絵師たちが描く男性像からは、人気のある男性像の変遷の歴史も知ることができるのです。江戸の美男子勢揃い!
江戸の男性像を探る―新しい視点
これまで浮世絵の美人画については、様々な見地から研究され、表現の変遷や描かれた女性たちについても多くのことが明らかになってきています。一方で、男性像に絞った考察はまだ十分には行われていません。しかし美人画と同様に、画中の男性像にも、江戸時代の人々の理想や美意識が反映されています。本展は、「男性はいかに描かれたのか」とする視点から、江戸時代文化の諸相へアプローチする初の試みです。<見どころの作品>
歌舞妓堂艶鏡「三代目市川八百蔵の梅王丸」(後期展示)
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 7月3日(水)・6日(土)・9日(火)/8月1日(木)・4日(日)・9日(金) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
開館日カレンダー
『北斎と暁斎 -奇想の漫画』
後期:2013年5月31日(金)~6月26日(水)
※前後期で展示替え
4月30日/5月7・13・20・27~30日/6月3・10・17・24日は休館となります。
北斎と暁斎-奇想の漫画展作品リスト[301KB]
二人の鬼才、夢の競演
ユーモラスな動きで踊る人々や、波や風、雨などの自然、妖怪や幽霊など、この世の森羅万象を描き出した葛飾北斎(1760~1849)の『北斎漫画』。その北斎の絵本の特色を最も色濃く継承したのが、狩野派の絵師でありながら、浮世絵の世界にも深く親しんだ河鍋暁斎です。暁斎は、『暁斎漫画』や『暁斎酔画』などの絵本で、踊る骸骨や擬人化された蛙などのユーモラスな画題のみならず、北斎に匹敵するほどのありとあらゆるテーマを手掛けています。本展では、今まで比較して語られることの少なかった、北斎と暁斎という二人の天才絵師たちの絵本に着目し、するどい観察眼に基づく超絶技巧の描写力や、現代のマンガへつながるようなユーモアとパワーに溢れた奇抜な発想力を紹介いたします。現代マンガのルーツ
北斎や暁斎が描いた「漫画」とは、さまざまなモチーフを気の向くままに描いたスケッチを意味します。絵とセリフでストーリーを読み進める現代の「マンガ」とは大きく異なりますが、線を用いて絵を描くという技術において、北斎や暁斎の漫画は、現在マンガのルーツの一つと言えるでしょう。描けぬものは何も無い。二人の絵師の素晴らしい描写テクニックをご覧ください。奇抜でユーモラスな動き
裸でコミカルなポーズをとる人や面白い表情をしている人。『北斎漫画』には思わず笑ってしまいそうなユーモラスでリズミカルな動きをした人々が数多く登場します。しかし、暁斎も負けてはいません。暁斎は多くの人が一つの画面に群がる群像表現を得意としていますが、暁斎らしさが出ていると言えば何と言っても踊る骸骨たち。骨だけの彼らの動きは何とも人間臭いものばかりです。動物 描き尽くす北斎、擬人化する暁斎
北斎と暁斎、二人の個性の違いがよく表われているのは、動物の表現でしょう。哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、さらには空想上の動物まで、あらゆる種類のものを描き尽くそうとする北斎。一方、暁斎は、カエルや象、モグラなどに、人間さながらの豊かなポーズや表情をとらせており、まるで平安時代の絵巻物「鳥獣戯画」が蘇ったようです。自然への鋭い観察眼
波や風など、目に見える形にすることが難しい自然現象を描くことに取り組んでいた北斎。その熱心な探究心は晩年の代表作「冨嶽三十六景」を生み出す大きな原動力となります。一方、暁斎には風景画の作品は少ないですが、「日光地取絵巻」に代表されるように、実際の風景を丹念に写生する観察力に優れていました。暁斎をもっと知る!首都圏各所にて暁斎の展覧会を同時開催
河鍋暁斎の作品は、本展でご紹介する漫画だけにはとどまりません。狩野派の絵師として、実にさまざまなジャンルの絵画を手掛けています。本展と同じ時期、暁斎の多岐に渡る画業を伝えるべく、三井記念美術館では「河鍋暁斎の能・狂言画」展、(4/20~6/16)、国立能楽堂資料展示室では「世も盡きじ―三井家の能・暁斎の猩々―」展(4/19~6/13)、河鍋暁斎記念美術館では「暁斎が斬る! 時事報道・世相風刺」展(5/1~6/25)が開催されます。合わせてご覧いただくことで、暁斎の魅力がより一層ご堪能できることでしょう。関連展
暁斎が斬る! 時事報道・世相風刺
5月1日(水)~6月25日(火) 河鍋暁斎記念美術館河鍋暁斎の能・狂言画
4月20日(土)~6月16日(日) 三井記念美術館世も盡きじ―三井家の能・暁斎の猩々―
4月19日(金)~6月13日(木) 国立能楽堂 資料展示室<見どころの作品>
入館料
リピーター割引あり(会期中2回目以降ご鑑賞の方は半券のご提示にて100円割引)
一般 | 1000円 |
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大高生 | 700円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
『江戸の女子力-ファッション・メイク・習い事』
はじめに
女性たちが様々な場面ではつらつと活躍する現代。近年ではファッションや習い事などを通して魅力を磨く「女子力」という言葉もよく耳にするようになりました。江戸時代の女性たちもまた、女性としての魅力を磨くことに熱心だったようです。浮世絵のなかには、流行の着こなしやメイクに挑戦し、お茶やお花などのお稽古事を楽しむ女性たちの姿がいきいきと描き出されているのです。太平の世が続くなかで、庶民にも着飾ることや趣味を持つ余裕が生まれてきました。ファッションリーダーである高級遊女や歌舞伎役者が、着物の着こなしや化粧法に新しい流行を生み出すと、庶民の女性たちは自分たちが可能な範囲でアレンジし楽しみました。江戸時代後期になると、髪型や化粧法の解説書も出版されるようになります。一方で、教養として読書や書道などを嗜み、三味線や踊りなどの芸事を身に付けることにも熱心に取り組みました。江戸の女性たちは外見だけでなく、内面の豊かさや美しさにも磨きをかけることを怠りませんでした。江戸の美人たちが浮世絵のなかで見せる洗練された美意識には、目をみはるものがあります。本展を通して、江戸時代を美しくたくましく生きる女性たちの姿に触れてみてください。
1. ファッションを楽しむ
江戸時代、幕府は庶民の贅沢を戒めるため、何度も奢侈禁止令を発令しました。しかし庶民たちは、着物の柄を下方にのみ施す裾模様や、縞や小紋など地味ながらもバリエーション豊かな文様を生み出しながらファッションを楽しみました。結髪も庶民に広がるとともに、多様なアレンジが生み出されていきます。簪をはじめとする装飾品にもこだわりながら、女性たちは思い思いに自分の魅力を引き出す努力をしていたのです。2. 江戸美人のメイク法
白粉を塗り、眉を整え、紅を引く。浮世絵には真剣な表情で鏡に向かってお化粧をしている、今と変わらない女性たちの姿が数多く見られます。江戸時代後期には白粉や紅などの化粧品も庶民に手の届くものとなっていました。浮世絵師は、鏡を見ながら化粧直しをする女性や、顔の産毛のお手入れをする女性の姿も度々描いています。当時の女性も現代女性に負けず劣らず「美」に対して貪欲だったようです。3. 江戸の習いごと事情
現代では様々な趣味の教室が開かれ、大勢の女性たちで賑わっています。江戸時代にも茶道や三味線、生花などの芸事を身に付けた女性たちがたくさんいました。武家の女性は嗜みとしてこれらを習得していました。また、吉原の高級遊女たちには、高い教養を身に付けた男性も訪れたため、美貌だけでなく和歌や漢詩の教養、芸事の才も求められました。庶民の女性にとっても芸事は、武家奉公などのキャリアアップにつながる重要なスキルでもあったのです。4. 働く女性たち
浮世絵師たちは、きびきびと働く女性たちも数多く描き留めました。家事に勤しむ様子はもちろん、習い事のお師匠、髪結いなど、女性ならではの仕事に従事する姿も多く見られます。当時の働く女性のはつらつとした姿をのぞいてみましょう。<見どころの一点>
鳥文斎栄之「風流略六芸 生花」
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 4月6日(土)・9日(火)・13日(土) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |