蜀山人 大田南畝 -大江戸マルチ文化人交遊録
後期:2008年6月1日(日)~6月26日(木)
前後期展示替えあり
※図録(税込み¥2,200)および『蜀山人・大田南畝のすべて』(著・渥美國泰氏里文出版 税込み¥2,415)はご好評につき完売いたしました。

石崎融思「大田南畝肖像」(部分)(個人蔵)・・・新発見の肖像
蜀山人(しょくさんじん)の名前でも知られる大田南畝(おおたなんぽ)は、江戸時代中・後期、下級武士でありながら、狂歌師や戯作者、また学者としても人気を博したマルチな文化人です。この南畝を中心にして、武士や町人たちの身分を越えた交流が生まれ、さまざまな絵画や文芸が花開きました。
江戸時代研究者の中では非常に重要な存在として考えられている大田南畝ですが、これまでまとまった形での展覧会は開催されておらず、また、現代の私たちにとってすっかり馴染みの薄い人物になってしまいました。
本展では、大田南畝の活動を軸にしながら、武士や町人たちの身分を越えた交流関係、さらにはそこから生まれた絵画や文芸などを紹介し、江戸の庶民文化が持つ多彩な世界を改めて見直します。
1.江戸の庶民文化の大御所、大田南畝とは何者か?
北尾政演『吾妻狂歌文庫』(東京都立中央図書館加賀文庫蔵)・・・若かりし南畝の肖像。百人一首のパロディのような仕立
2.昼は真面目な役人、夜は引く手あまたの文化人
喜多川歌麿「三保の松原道中」(太田記念美術館蔵)・・・美人画の第一人者、歌麿が描いた錦絵。南畝の狂歌仲間のために作られた。
3.武士と町人、身分を越えた文化コミュニティ
喜多川歌麿「夷歌連中双六」(大妻女子大学図書館蔵)・・・狂歌を双六に仕立てた巨大な摺物
4.浮世絵師と狂歌師のコラボレーション
狂歌の世界は文芸という一つの枠に収まりません。喜多川歌麿や葛飾北斎など、浮世絵界の大物たちも狂歌の世界と密接に関わっていました。狂歌グループの仲間たちが浮世絵師に協力を依頼して、自分たちの狂歌の入った浮世絵や絵本をたくさん出版していたのです。浮世絵師の中には、自らグループに参加し、狂歌を楽しんでいるような人もいました。絵画と文芸、二つの異なるジャンルが結びついて新しい文化が花開いたのです。
葛飾北斎「富嶽図」(太田記念美術館蔵)
・・・北斎と南畝の貴重なコラボレーション
鳥文斎栄之「胡蝶の夢」(太田記念美術館蔵)
・・・南畝は数多くの浮世絵に賛を求められた。
5.教養=遊びの文化
大田南畝「墨水遊記」(個人蔵)・・・再発見された南畝直筆による隅田川の情景を詠んだ漢詩の巻
6.浮世絵研究家・南畝
東洲斎写楽といえば、謎の浮世絵師として、その正体を解き明かそうとする人たちの興味を惹きつけて離しませんが、この東州斎写楽について語る際にまず引用されるのが、大田南畝の記した『浮世絵考証』という、浮世絵師についての記録です。南畝は、狂歌や狂詩といった娯楽の文芸だけでなく、江戸の歴史や文化について深い造詣を示し、それを考察した随筆を数多く記した学者としての側面も備えています。さらには、谷文晁や酒井抱一、亀田鵬斎といった江戸の一流の文化人とも親しく交流をしていました。南畝はまさしくマルチな才能を備えた人だったといえるでしょう。
7.新発見の資料を紹介
「大田南畝印譜」(大妻女子大学図書館蔵)
本展覧会では、新たに発見された南畝の肖像画や自筆の手紙、さらには、行方が分からなくなっていた南畝の書など、貴重な資料を多数紹介いたします。江戸文学の専門的な研究者にとっても見逃すことのできない重要な展覧会となることでしょう
「大田南畝印譜」(大妻女子大学図書館蔵)・・・南畝が用いていた判子を捺したもの 作品の真贋を見極める参考になる貴重な資料
料金
一般 | 1000円 |
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大高生 | 700円 |
小中生 | 400円 |
開館日カレンダー
