大江戸クルージング

企画展
2017年7月1日(土)~23日(日)
 
7月3、10、18日は休館します。
 

 

今、2020年の東京オリンピックに向けて、東京の水辺の魅力を再認識し、観光や交通手段として舟運を見直す動きが注目されています。実は現在の東京からは想像もつかないほど、昔の江戸は市中に堀や水路が縦横に張り巡らされ、隅田川や江戸湾にも囲まれた「水の都」でした。当時の浮世絵には、隅田川などの川で舟遊びを楽しむ人々や、現在のタクシーのように、各地の船宿から出る乗合船を交通手段として使う人々、そして日本各地から集まってきた物資を江戸市中に運ぶ舟運の様子などが数多く描かれており、水辺と船が庶民の生活に密着した、非常に身近な存在であったことがうかがわれます。中でも両国の夏の納涼は江戸の一大イベントで、船遊びや花火を楽しむ人々が大挙して押寄せ、川面には大小の船が所せましと浮かびました。本展は、浮世絵を見ながら江戸のさまざまな水辺をクルージング気分でめぐる、夏にぴったりの展覧会です。

 

 

江戸の水辺をクルージング!

日本橋をスタートして、クルージング気分で江戸の町をめぐってみましょう。日本橋川や佃島近辺、隅田川、小名木川、芝浦など、江戸のさまざまな水辺を描いた作品を紹介します。


歌川広重「名所江戸百景 日本橋雪晴」


歌川広重「名所江戸百景 芝うらの風景」


歌川国芳「東都名所 佃嶋」


葛飾北斎「雪月花 隅田」

隅田川で納涼!-舟遊びと花火

隅田川では、毎年5月28日の川開きから8月28日までが納涼の期間と定められていました。両国周辺では花火が打ち上げられ、川面には舟遊びを楽しむ膨大な数の船が浮かびました。


歌川広重「東都名所 両国橋夕涼全図」


歌川国安「両国花火の図」

江戸を飛び出し、日本各地の海へ

江戸の水辺を楽しんだ後は、日本各地の水辺をクルージング。多くの参詣者で賑わった江ノ島や、海運で栄えた日本各地の港を描いた作品を紹介します。


喜多川歌麿「江之島岩屋」


昇亭北寿「上総銚子浦鰹釣舟之図」

江戸時代のさまざまな船

屋形船、屋根船、船の乗客に飲食物を売って回る煮売船など、船遊びに用いられた船や、弁財船や高瀬船といった舟運に用いられた船まで、浮世絵に描かれたさまざまな船を紹介します。


歌川国貞(三代豊国)「屋形舩 花見の図」


歌川国芳「東都名所 両国の涼」

<見どころの一点>
歌川国貞(三代豊国)「極暑あそび」

                                        

隅田川を一艘の屋根船が進みます。右手に見えているのが両国橋とすると、屋根船の左手奥にみえる対岸の橋は薬研堀にかかる難波橋となります。「極暑」と題名にあるように、夏の暑い最中、隅田川で歌舞伎役者たちが舟遊びをする様子を描いた作品です。屋根船の中に見える役者は八代目市川団十郎、初代坂東しうかなど。船の中には皿に盛られた料理も見えています。本図でなんといっても目を引くのは、手前の川で泳ぐ役者たちの姿でしょう。役者たちはただ泳いでいるのではなく、「かへるおよぎ」「雷盆(すりばち)およぎ」「徳利もち立游(およぎ)」「しやちほこ立游」「土左衛門およぎ」など、現代のシンクロナイズドスイミングも彷彿とさせる、凝ったユーモラスな泳ぎを披露しています。船中の役者たちは、体を張った水中の役者たちの泳ぎをつまみに酒を飲んでいるという訳です。ちなみに船中の役者が若手の花形役者たちなのに対し、手前は二代目中山文五郎、初代市川広五郎ら格のそれほど高くない脇役系の役者たちであることがやや哀愁を誘います。

イベント
学芸員によるスライドトーク

展覧会の見どころを担当学芸員が解説します。

日程 2017年7月6(木)、12日(水)、17日(月・祝)
時間 14:00~(40分程度)
場所 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料

 

馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月

企画展
2017年6月2日(金)~25日(日)
6月5、12、19日は休館します。
 

 

 

今年は馬琴誕生250年

 曲亭(滝沢)馬琴は、江戸時代のベストセラーである『南総里見八犬伝』の作者として、現在でも高い人気を誇っています。馬琴の執筆した『南総里見八犬伝』や『椿説弓張月』は、小説の枠に収まらず、歌舞伎として上演されたり、浮世絵として絵画化されたりしました。今年は馬琴が誕生してからちょうど250年にあたります。本展ではそれを記念して、馬琴の小説を題材とした浮世絵約80点をご紹介いたします。

キャプション

歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」(個人蔵)

キャプション

歌川国芳「本朝水滸伝剛勇八百人一個 犬村大学礼儀」(個人蔵)

キャプション

歌川国貞「豊国揮毫奇術競 蒙雲国師」(個人蔵)

 

 

国芳VS国貞 人気絵師の対決

歌川国芳と歌川国貞は、近年注目を集めている浮世絵師ですが、この二人は『南総里見八犬伝』や『椿説弓張月』を題材とした浮世絵版画を数多く描いています。例えば、国芳の代表作である巨大なワニザメも、実は馬琴の小説を題材としたもの。人気絵師の二人が、馬琴の小説をどのように絵画化しているか、その個性の違いをお楽しみください。さらに、歌川芳艶や月岡芳年など、他の浮世絵師たちの作品もご紹介します。
写真サンプル

歌川国貞「放龍閣之場 犬飼現八 犬塚信乃」(個人蔵)

キャプション

月岡芳年「芳流閣両雄動」(太田記念美術館蔵)

写真サンプル

歌川国芳「八犬伝之内芳流閣」(個人蔵)

『南総里見八犬伝』ブームの源流

 『南総里見八犬伝』は28年の歳月をかけて書き継がれた、江戸時代屈指のロングセラーでしたが、現代になっても、その形を変えながら、物語は受け継がれています。昭和48年(1973)のNHK人形劇『新八犬伝』や、昭和58年(1983)の深作欣二監督の角川映画『里見八犬伝』をご記憶の方は多いことでしょう。今年になっても、歌舞伎や演劇として上演されており、その人気は色あせておりません。八犬伝ブームの源流を浮世絵から探ります。

写真サンプル

歌川国芳「本朝水滸伝剛勇八百人一個 犬山道節忠與」(個人蔵)

写真サンプル

歌川国芳「義勇八犬伝 犬坂毛乃」(個人蔵)

写真サンプル

二代歌川国貞「八犬伝犬の草紙の内 尼妙椿」(個人蔵)

 


<見どころの一点>
歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」(個人蔵)

                   

まるで怪獣のような巨大なワニザメのインパクトが強く、国芳の代表作の一つに数えられていますが、実はこの作品も馬琴の物語を題材にしています。平安時代の豪傑・鎮西八郎為朝を主人公にした波乱万丈の冒険ストーリーである『椿説弓張月』の一場面。暴風雨に巻き込まれた為朝とその仲間たちを、烏天狗やワニザメが救出に訪れました。馬琴の物語を知ると、浮世絵をより深く鑑賞することができます。

イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程

2017年6月4日(日)・13日(火)・23日(金)

時間 14:00~(40分程度)
場所 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料
開館日カレンダー

休館日

   

浮世絵動物園

企画展
2017年4月1日(土)~5月28日(日)
前期 4月1日(土)~26日(水)
後期 5月2日(火)~28日(日)
※前後期で展示替え
 
4月3、10、17、24、27~30日、5月1、8、15、22日は休館します。
 

 

 

帰ってきた「浮世絵動物園」~猫から龍まで大集合~

ペットとして愛された猫や金魚、擬人化されたタコや狐、龍や河童。2010年に多彩な動物を描く浮世絵をご紹介し好評を博した「浮世絵動物園」展がパワーアップして帰ってきます。展示総数は前回の2倍となる約160点。前回をご覧になった方もそうでない方も、きっとお気に入りの動物に出会えるはず。この春は美術館でもかわいい動物の姿をお楽しみください。

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歌川国芳「里すゞめねぐらの仮宿」前期展示

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歌川広重「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」後期展示

国芳だけじゃない!巨匠たちの動物くらべ

動物を描く浮世絵と言えば、歌川国芳によるかわいい猫の絵を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、動物を得意としたのは国芳だけではありません。本展には鈴木春信、葛飾北斎、歌川広重、月岡芳年、河鍋暁斎といった名だたる絵師たちが登場。それぞれの個性が発揮された動物描写も注目です。

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葛飾北斎「狆」後期展示

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河鍋暁斎「天竺渡来大評判 象の戯遊」
前期展示

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鈴木春信「猫に蝶」前期展示

擬人化された動物たち~遊ぶ・食べる・喧嘩する~

国宝「鳥獣戯画」(平安~鎌倉時代)からディズニー映画まで、擬人化された動物の活躍は長く愛されてきました。浮世絵でもタコが踊り、鳥が芸を披露し、猫はお蕎麦を食べて。ほかにも相撲をとったり喧嘩したりと大忙し。身近な動物たちが江戸っ子さながらに振る舞う愉快な姿は、本展の見どころのひとつです。

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歌川貞秀「蛸踊り」後期展示

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落合芳幾「諸鳥芸づくし」前期展示

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四代歌川国政「しん板猫のそばや」後期展示

珍獣いろいろ

全ての干支を合体させた「家内安全ヲ守 十二支之図」のように、実際には存在しない空想上の動物も描かれました。一方で、舶来し見世物として話題を呼んだ象や豹を写した絵、珍しい生物を図鑑の挿絵のように精緻に描写した作品も残されます。絵師たちは創造力と観察眼とを発揮しながら様々な珍獣の絵を世に送り出したのです。

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歌川芳虎「家内安全ヲ守 十二支之図」
後期展示

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歌川芳員「東海道五十三次内 大磯をだはらへ四リ」前期展示

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服部雪斎「サンセウウヲ」後期展示

暮らしのなかの動物

暦や時間、方位を表す際に干支を用い、労働力として牛や馬が欠かせなかった江戸時代。浮世絵にはペット以外にも暮らしに溶け込んだ動物が様々に登場しており、はては着物にも多くの動物模様が見いだせるほど。こうした作品は人々と動物との関係が現代よりも密接であったことをうかがわせます。

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月岡芳年「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗」前期展示

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歌川国貞「浄瑠璃つくし 傾城恋飛脚 梅川忠兵衛 新口村の段」後期展示
人気役者・七代目団十郎が好んだことから蝙蝠模様が流行した。

<見どころの一点>
歌川芳豊「中天竺馬爾加国出生新渡舶来大象之図」前期展示

                                   

 動物園に行けば必ず目にする象。子供から大人まで人気の動物ですが、江戸時代には日本に生息していない珍獣中の珍獣でした。絵のモデルは幕末の文久2年(1862)、アメリカ船がマラッカから横浜にもたらした象で、本図は翌3年、両国での見世物興行の際に制作されたものです。この象はなんと10年以上も日本全国を巡業しました。長い鼻を器用につかう愛嬌のある姿はお馴染みのものですが、画中文字には「一度此霊獣を見る者ハ七難を即滅し七福を生ず」とあります。つまり、福を呼ぶご利益のあるありがたい動物として宣伝されているのです。現代人とは異なる江戸っ子の象への眼差しがうかがわれます。

イベント
学芸員によるスライドトーク

展覧会の見どころを担当学芸員が解説します。

日程 2017年4月8(土)、11日(火)、19日(水)、
5月11日(木)、17日(水)、23日(火)
時間 14:00~(40分程度)
場所 太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法 申込不要 参加無料(要入場券)
入館料
一般 700円
大高生 500円
中学生以下 無料